Secret love.
Episode13
職場でのお昼の事、結婚してから1カ月ほど経つ。


「あの、及川くん。食べづらい。」

「気にしなくて良いよ。真横で奥さんがご飯ハムスターみたいに頬張ってんの可愛いなと思って見てるだけだから。」

「喧嘩売ってんの?」

「可愛いって褒めてるじゃん。」

「いちゃつくならよそでやってもらってもいい?」


交際を隠さなくなってから当たり前に近付いてきて、実季の前でもこんな会話をするようになってしまった。

実季はもはや呆れていて「営業のオフィスでもここでもお腹いっぱいだわ」とげんなりしていた。


「結婚は良いよ。早く朝倉さんに貰ってもらいな?」

「及川くん、いい加減にしてね?」


馬鹿みたいな惚気で実季を揶揄う及川くんに注意をすると、少しだけムッとしていた。


「何で及川くんなの。家と同じように歩くんって呼んでくれたらいいのに。」

「恥ずかしいからやめて!」


最近実季との穏やかなランチタイムが胸焼けしそうなほど甘い。実季はもはや及川くんを無視していて、目の前でクリームパスタを食べ進めている。

私だってこんな風に人前で惚気たい訳じゃないのに、最近の及川くんは遠慮が無い。

会社ではいつも通りただの経理と営業なのに、こうして休憩中とかにあってしまうと、犬みたいにやってくる。会った瞬間とびかかってきて顔を舐めてくるわんちゃんと一緒。
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