運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
第六話 六番目の婚約者
***
王城を彩る庭園では、朝露をまとった白薔薇が、陽光を受けてきらりと光る。まるで何かの祝福を受けているような光景なのに、セレナの足取りはひどく重たかった。
「……殿下に、王太子弟とお茶会なんて、なに話したらいいのよ」
ぶつぶつと文句を言いながら、セレナは廊下をひたすら歩いていく。
そんな彼女の後ろでは、メイドのエマが晴れがましい笑顔でついてくる。日々、そばで仕えているセレナが、王族と公爵令嬢という高貴な彼らの仲間入りをするのが誇らしくて仕方ないのだ。
「殿下はお茶会によく参加するんですか?」
セレナは憂鬱なまま尋ねた。パーティーではダンスを試されたが、お茶会ではどんな作法を試されるだろう。考えるだけでも気が遠くなる。
「よく……とまでは。レオン様がクラリス様をお誘いになるときに、あいさつでご参加される程度です」
「他のご令嬢とは?」
「それが、まったく」
「まったく?」
「ほとんど執務室にこもられておりますし……、ご婚約者様がどうしてもと願う場合以外は、お会いになるご様子もなかったのではないかと」
「そう……なの」
拍子抜けして、間抜けな返事をしてしまった。
理由があっての婚約破棄とはいえ、次から次へと決まる婚約者に、儀礼的にでも優しくしないはずはなく、てっきり、楽しいお茶会を開いていたんだろうとばかり思っていた。
王城を彩る庭園では、朝露をまとった白薔薇が、陽光を受けてきらりと光る。まるで何かの祝福を受けているような光景なのに、セレナの足取りはひどく重たかった。
「……殿下に、王太子弟とお茶会なんて、なに話したらいいのよ」
ぶつぶつと文句を言いながら、セレナは廊下をひたすら歩いていく。
そんな彼女の後ろでは、メイドのエマが晴れがましい笑顔でついてくる。日々、そばで仕えているセレナが、王族と公爵令嬢という高貴な彼らの仲間入りをするのが誇らしくて仕方ないのだ。
「殿下はお茶会によく参加するんですか?」
セレナは憂鬱なまま尋ねた。パーティーではダンスを試されたが、お茶会ではどんな作法を試されるだろう。考えるだけでも気が遠くなる。
「よく……とまでは。レオン様がクラリス様をお誘いになるときに、あいさつでご参加される程度です」
「他のご令嬢とは?」
「それが、まったく」
「まったく?」
「ほとんど執務室にこもられておりますし……、ご婚約者様がどうしてもと願う場合以外は、お会いになるご様子もなかったのではないかと」
「そう……なの」
拍子抜けして、間抜けな返事をしてしまった。
理由があっての婚約破棄とはいえ、次から次へと決まる婚約者に、儀礼的にでも優しくしないはずはなく、てっきり、楽しいお茶会を開いていたんだろうとばかり思っていた。