運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
第二話 婚約者選定の夜
***
メルンを発ってから二日。宿場町と小領主の館で一夜ずつを過ごし、馬車は林を抜けた。石畳の道がまっすぐ延び、高くそびえる城壁が見えてくると、馬車の横を駆けるテオが馬上から声を上げた。
「王都は、もうすぐです!」
やっと……という安堵とともに、不安まじりの高揚感で胸が跳ねた。
おそらく到着後は、アレクの鋭い視線にさらされながらの尋問が待っているだろう。洞窟にいた理由をうまく説明できる気はまったくしない。
もし自分が災厄の魔女イザベラに関係していると疑われたら……。そう考えるだけでも動悸がして、憂鬱になる。
しかしその不安も、考古学への興味には勝てなかったようだ。好奇心の前で、不安は胸の奥へ押し込まれてしまう。
「すごい……すごく豪華だわ」
目の前に広がる王都の景色に、セレナは目を輝かせた。
王太子を出迎えるべく、広い石畳の道に沿って並ぶ兵士たちに、風になびく数多の華やかな旗。鐘の音が街中に響き渡り、市民たちの歓声が波のように押し寄せる。資料でしか見たことのない中世都市が、目の前に生き生きと広がっている。
セレナは馬車の中からきょろきょろと辺りを見回した。道の両脇に立つ人々の表情まで、目が離せない。ある老夫婦は笑顔で手を振り、子どもたちは駆け回って笑い、婦人たちは歓喜しながらハンカチを振る。
先頭を進むアレクの背中は、凛として微塵も揺るがない。たくさんの戦利品を携えての帰還は、魔女イザベラを捕らえられなかった失敗など、民にはつゆほども察せられないであろう。
メルンを発ってから二日。宿場町と小領主の館で一夜ずつを過ごし、馬車は林を抜けた。石畳の道がまっすぐ延び、高くそびえる城壁が見えてくると、馬車の横を駆けるテオが馬上から声を上げた。
「王都は、もうすぐです!」
やっと……という安堵とともに、不安まじりの高揚感で胸が跳ねた。
おそらく到着後は、アレクの鋭い視線にさらされながらの尋問が待っているだろう。洞窟にいた理由をうまく説明できる気はまったくしない。
もし自分が災厄の魔女イザベラに関係していると疑われたら……。そう考えるだけでも動悸がして、憂鬱になる。
しかしその不安も、考古学への興味には勝てなかったようだ。好奇心の前で、不安は胸の奥へ押し込まれてしまう。
「すごい……すごく豪華だわ」
目の前に広がる王都の景色に、セレナは目を輝かせた。
王太子を出迎えるべく、広い石畳の道に沿って並ぶ兵士たちに、風になびく数多の華やかな旗。鐘の音が街中に響き渡り、市民たちの歓声が波のように押し寄せる。資料でしか見たことのない中世都市が、目の前に生き生きと広がっている。
セレナは馬車の中からきょろきょろと辺りを見回した。道の両脇に立つ人々の表情まで、目が離せない。ある老夫婦は笑顔で手を振り、子どもたちは駆け回って笑い、婦人たちは歓喜しながらハンカチを振る。
先頭を進むアレクの背中は、凛として微塵も揺るがない。たくさんの戦利品を携えての帰還は、魔女イザベラを捕らえられなかった失敗など、民にはつゆほども察せられないであろう。