運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
第三話 魔女のしわざ
***
柔らかな陽の光がさす午後、セレナはエマに連れられて、宮殿の入り口へ向かっていた。クラリスの暮らす公爵邸に招待されたからだ。
サマセット公爵家は王家に次ぐ有力貴族で、その公爵令嬢であるクラリスと懇意にするのはとても名誉なことだと、エマはすっかり舞い上がっていた。
意気込むエマの熱量に負けて、贅沢に着飾ったセレナが宮殿内を歩くと、すれ違う兵士たちが足をとめて、礼儀正しく頭を下げていく。
王太子自らが連れ帰った客人、旧伯爵家出身のセレナ・べナールという肩書きだけが勝手に一人歩きして、特別視されているのをひしひしと感じる。
粗相したら、アレクにどんな嫌味を言われるかわからない。彼の不機嫌な顔が肩に重くのしかかる。セレナは少々浮かない気持ちになりながらも、にこやかにやり過ごし、廊下を進んだ。
「セレナ様、あちらに公爵邸から馬車のお迎えが来ております。外出の際は従者をつけるよう殿下から申し付けられておりますので、どうぞ安心してお出かけください」
華やかな二頭立て馬車のそばには、獅子の紋章のついたマントを羽織る兵士が立っていた。第一騎士団の騎士だ。
宮殿内では、心配していたような監禁生活は送っていないが、どこへ行くにも、警護名目での監視は続いているようだ。
それにしても、いつまでこの生活が続くのかしら。
柔らかな陽の光がさす午後、セレナはエマに連れられて、宮殿の入り口へ向かっていた。クラリスの暮らす公爵邸に招待されたからだ。
サマセット公爵家は王家に次ぐ有力貴族で、その公爵令嬢であるクラリスと懇意にするのはとても名誉なことだと、エマはすっかり舞い上がっていた。
意気込むエマの熱量に負けて、贅沢に着飾ったセレナが宮殿内を歩くと、すれ違う兵士たちが足をとめて、礼儀正しく頭を下げていく。
王太子自らが連れ帰った客人、旧伯爵家出身のセレナ・べナールという肩書きだけが勝手に一人歩きして、特別視されているのをひしひしと感じる。
粗相したら、アレクにどんな嫌味を言われるかわからない。彼の不機嫌な顔が肩に重くのしかかる。セレナは少々浮かない気持ちになりながらも、にこやかにやり過ごし、廊下を進んだ。
「セレナ様、あちらに公爵邸から馬車のお迎えが来ております。外出の際は従者をつけるよう殿下から申し付けられておりますので、どうぞ安心してお出かけください」
華やかな二頭立て馬車のそばには、獅子の紋章のついたマントを羽織る兵士が立っていた。第一騎士団の騎士だ。
宮殿内では、心配していたような監禁生活は送っていないが、どこへ行くにも、警護名目での監視は続いているようだ。
それにしても、いつまでこの生活が続くのかしら。