育児チート令嬢、辺境で王族の赤子と元騎士団長様と家族はじめました〜子守り上手な彼に溺愛される異世界スローライフ〜
6.買い出し行くにも一苦労
しかし、話はそう甘くはなかった。
フィオが寝ている間、屋敷の中を掃除しようと換気をし、窓を拭いたり箒で床を掃いたりとしていたら、意外にも埃がたまっており時間がかかってしまった。
ハウスダストとかも怖いし、小さな子供がいるので綺麗にしなければと掃除に勤しむ。
(掃除機があればすぐに終わるのに、全部自分の手でやるのは大変だな)
桶に入れた水で雑巾を洗っていると、気が付けば太陽は真上に上がっており、昼になったことに気が付く。
フィオはまだ起きないが、おなかが減ったので私も何か昼食を食べたいと、掃除道具を置き手を洗う。
「この辺で食料を買える場所はあるかな?」
独り言を言うと、すぐに視界にウィンドウが開く。
『少し歩くと、セレス村という小さな村があり、そこで食料の購入ができます』
と文字が浮かんでいるのを読む。
神託の巫女の能力のようだが、この世界で生きるための常識を教えてくれるため、私はデジタルデバイスのAIのように、わからないことは何でも聞くようにしていた。
「セレス村ね。ここからどのくらいかな」
『地図を表示します。片道約3キロです』
「さ、3キロ……!」
すでに空腹の状態で買いに行くにしては、結構しんどい距離だ。
それにフィオを置いて行くわけにはいかないので、赤子抱っこしての往復6キロはなかなかだ。
しかし、さすが辺境。他に手段はない。
「行きますか……!」
布で作った抱っこ紐に寝ているフィオを包み込み、前抱っこをして歩き出した。
30分以上歩いて着いたセレス村は、商店街のような細い通りがあり、そこで果物やパンを売っていた。
額の汗を拭いながら、路上販売しているお店を覗いていく。
「あらあ可愛い子ね。果物食べるかしら?」
「あーう!」
果物屋のお婆さんは、フィオの顔を見るとニコニコと見て手を降ってきた。
「ありがとうございます。でもまだミルクで、この子は食べれないんです」
「そう、でもお母さんも栄養取らなきゃ! うちの果物は栄養満点よ」
りんごやオレンジがカゴいっぱいに積まれており、みずみずしい香りが漂ってくる。
「じゃあ、りんご一個ください」
私はポケットに数枚入れておいた貨幣を渡すと、
「あ、あらお札ね……待って、お釣りを用意するから」
銅貨で渡されると思ったのだろう、お婆さんは綺麗なお札を受け取り、じゃらじゃらと大量の小銭を渡してきた。
カルヴァン皇帝から渡されたのは100ジェス紙幣の束で、商店街では使いづらいかもしれない。
露天で100円の買い物をするのに万札を出してしまった雰囲気だ。
ポケットを小銭でいっぱいにしたまま、次はパン屋に向かう。
焼きたてのパンはどれも美味しそうだけれど、赤ちゃんを抱っこし、帰りも三キロ歩かねばならない。
それに保存が効かないとなると、今食べる分と明日の朝まで2・3食ぐらいが買う限度だ。
お金があっても、赤子を背負いながら持ち運べる量なんて限られている。そもそも、冷蔵庫もないのに、大量の食べ物を保存できない。
野菜が挟んである簡単なサンドイッチと、りんごで手がいっぱいになったので、私は町の外れの切り株に腰をかけ、野菜のサンドイッチを齧る。
(もしかして、ここで問題なのは、お金でも育児でもないのかもしれない……!)
胸の中でニコニコと笑うフィオは可愛い。
けれど、この生活はなかなか骨が折れる。
りんごを半分まで齧って咀嚼してひと休憩すると、私はまた赤子を抱っこしたまま、のろのろと辺境の屋敷へと戻るのだった。
フィオが寝ている間、屋敷の中を掃除しようと換気をし、窓を拭いたり箒で床を掃いたりとしていたら、意外にも埃がたまっており時間がかかってしまった。
ハウスダストとかも怖いし、小さな子供がいるので綺麗にしなければと掃除に勤しむ。
(掃除機があればすぐに終わるのに、全部自分の手でやるのは大変だな)
桶に入れた水で雑巾を洗っていると、気が付けば太陽は真上に上がっており、昼になったことに気が付く。
フィオはまだ起きないが、おなかが減ったので私も何か昼食を食べたいと、掃除道具を置き手を洗う。
「この辺で食料を買える場所はあるかな?」
独り言を言うと、すぐに視界にウィンドウが開く。
『少し歩くと、セレス村という小さな村があり、そこで食料の購入ができます』
と文字が浮かんでいるのを読む。
神託の巫女の能力のようだが、この世界で生きるための常識を教えてくれるため、私はデジタルデバイスのAIのように、わからないことは何でも聞くようにしていた。
「セレス村ね。ここからどのくらいかな」
『地図を表示します。片道約3キロです』
「さ、3キロ……!」
すでに空腹の状態で買いに行くにしては、結構しんどい距離だ。
それにフィオを置いて行くわけにはいかないので、赤子抱っこしての往復6キロはなかなかだ。
しかし、さすが辺境。他に手段はない。
「行きますか……!」
布で作った抱っこ紐に寝ているフィオを包み込み、前抱っこをして歩き出した。
30分以上歩いて着いたセレス村は、商店街のような細い通りがあり、そこで果物やパンを売っていた。
額の汗を拭いながら、路上販売しているお店を覗いていく。
「あらあ可愛い子ね。果物食べるかしら?」
「あーう!」
果物屋のお婆さんは、フィオの顔を見るとニコニコと見て手を降ってきた。
「ありがとうございます。でもまだミルクで、この子は食べれないんです」
「そう、でもお母さんも栄養取らなきゃ! うちの果物は栄養満点よ」
りんごやオレンジがカゴいっぱいに積まれており、みずみずしい香りが漂ってくる。
「じゃあ、りんご一個ください」
私はポケットに数枚入れておいた貨幣を渡すと、
「あ、あらお札ね……待って、お釣りを用意するから」
銅貨で渡されると思ったのだろう、お婆さんは綺麗なお札を受け取り、じゃらじゃらと大量の小銭を渡してきた。
カルヴァン皇帝から渡されたのは100ジェス紙幣の束で、商店街では使いづらいかもしれない。
露天で100円の買い物をするのに万札を出してしまった雰囲気だ。
ポケットを小銭でいっぱいにしたまま、次はパン屋に向かう。
焼きたてのパンはどれも美味しそうだけれど、赤ちゃんを抱っこし、帰りも三キロ歩かねばならない。
それに保存が効かないとなると、今食べる分と明日の朝まで2・3食ぐらいが買う限度だ。
お金があっても、赤子を背負いながら持ち運べる量なんて限られている。そもそも、冷蔵庫もないのに、大量の食べ物を保存できない。
野菜が挟んである簡単なサンドイッチと、りんごで手がいっぱいになったので、私は町の外れの切り株に腰をかけ、野菜のサンドイッチを齧る。
(もしかして、ここで問題なのは、お金でも育児でもないのかもしれない……!)
胸の中でニコニコと笑うフィオは可愛い。
けれど、この生活はなかなか骨が折れる。
りんごを半分まで齧って咀嚼してひと休憩すると、私はまた赤子を抱っこしたまま、のろのろと辺境の屋敷へと戻るのだった。