妹に虐げられて魔法が使えない無能王女は、政略結婚でお飾り王太子妃になるはずなのに俺様王太子に溺愛されています
11.魔法力が高い代償
ディエゴと孤児院へ公務へ行ってから一週間後。連日、気温が高い日が続いている。ルフェーヌがジョゼから聞いた話によると、例年より気温が高い日が続いているようだ。
ルフェーヌが食堂で朝食に来ないディエゴを心配していると執事のオレリアンが一人でがやってきた。オレリアンはルフェーヌのそばまでやってきて耳打ちするように報告をする。
「ルフェーヌ様、申し訳ございません。ディエゴ王太子殿下は体調を崩されてお休みになっております。本日はお一人での食事をお許しください」
オレリアンはそれだけ言うと、ルフェーヌへお辞儀をして去っていった。
(どうしたのかな……)
ルフェーヌは昨日のディエゴと会った時の事を思い出す。昨日は普段通り一緒に食事をしていた。いつもより水をよく飲むと思ったが、特に体調が悪そうには見えなかった。
ルフェーヌは席を立ち上がり、ディエゴの寝室へ向かう。
ルフェーヌはディエゴの寝室の前までやってきた。控えめにノックをするが、返事がない。眠っているのかもしれない。ルフェーヌはこのまま帰ろうと踵を返そうとするが、足が動かない。
ルフェーヌはディエゴの事がどうしても気になり、許可を得ずに扉を開けて寝室へ入る。
ルフェーヌは明るい寝室へ入るのは初めてだ。ディエゴの寝室がよく見える。部屋にはベッド、デスク、チェスト、サイドテーブルなどが置かれ、余計なものは出てはいない。必要最低限のものしか置かれていない印象だ。
キングサイズのベッドが盛り上がっている。ルフェーヌはベッドに近づいて様子をうかがう。
「ディエゴ様……」
ディエゴは荒い呼吸で大量に汗をかき、発熱で顔を紅潮させてうなされているように見える。ルフェーヌは普段は強気なディエゴがうなされている姿を見て不安になる。
ルフェーヌはディエゴの額に手を当てる。
「熱いわ」
額に触れただけで高熱だと言う事が分かる。一体何度の熱が出ているのだろう。
ルフェーヌは何か冷やせるものはないかと部屋を見渡したが、何もなかった。ルフェーヌは部屋の窓が閉まっていたので、窓を開けに窓辺へ歩く。
窓からは青空とパイロープの街が見える。ルフェーヌが窓を開けると、爽やかな風が室内に入る。気持ちの良い風を感じていると寝室の扉が開く。
「ルフェーヌ様、いらしていたのですね。朝食はお召し上がりになりましたか?」
オレリアンはルフェーヌがいる事に一瞬驚いた表情を見せて寝室へ入る。オレリアンは銀色のトレイには水差し、氷のうとその換えの氷が入ったボールが乗っている。
「朝食はまだよ。失礼かと思ったけど、どうしてもディエゴ様の容態が気になって勝手に寝室へ入ってしまったわ」
オレリアンは「そうですか」とルフェーヌへ返し、ベッドサイドにあるサイドテーブルの上に水差しと氷のうとボールを置く。
「先程、王太子殿下は魔法薬を飲まれてお休みになっています」
魔法薬とは魔法薬を処方できる専門職が処方した薬のことだ。魔法の力を帯びた生薬から処方をするので魔法薬と呼ばれている。
「わたしに何かできることはありますか?」
オレリアンは口を閉じたまま、ルフェーヌから視線を下に向けて何かを考えているように見える。
「お邪魔でしたら、わたしは帰ります」
ルフェーヌは何もできないと思い、寝室を出て行こうとする。
「ルフェーヌ様」
ルフェーヌは寝室から出ようとした時、オレリアンに呼び止められる。ルフェーヌは寝室を出て行かず、オレリアンへ振り返る。
「ルフェーヌ様は王太子殿下をお支えする覚悟はございますか?」
ルフェーヌは即答せず、長考する。オレリアンが言いたいのはお飾りとしてだろうか。ルフェーヌはそのつもりでディエゴの元へやってきた。しかし今は個人的にディエゴの事が心配だ。
ディエゴが心配だが、覚悟があるかと問われるとルフェーヌは自信がなくて答える事ができない。
「申し訳ございませんが、覚悟がないようでしたらお帰りください」
オレリアンの毅然とした言葉にルフェーヌは何も言う事ができない。しかしこのまま帰る事はできない。
「オレリアンさん、正直に言います。わたしは今はまだディエゴ様を支える覚悟があると言い切れません。自信がありません」
ルフェーヌは威圧感と感情の起伏が激しいディエゴを支えられるのか自信がない。
ルフェーヌはディエゴに泣かされそうになり、からかわれたり、褒められたり、いろいろな感情を知った。
以前のルフェーヌならばオレリアンに言われて帰っていたかもしれない。しかし今のルフェーヌは帰りたくないとハッキリとした意志を持っている。
「わたしはこんなに苦しんでいるディエゴ様のそばを離れる事はできないわ。ディエゴ様のそばにいたいの」
オレリアンはルフェーヌに真っ直ぐ視線を向ける。ルフェーヌはオレリアンから目を逸らさずしっかりと意志を伝えるように視線を向ける。
オレリアンはルフェーヌの意志に応え、口を開く。
「ルフェーヌ様のお気持ちは分かりました。私はルフェーヌ様を信じます」
オレリアンはルフェーヌへ近づき、ルフェーヌが帰ろうとして開けた扉を閉める。
「私の話を他の誰にも口外せず、ルフェーヌ様の胸に留めておいてください」
オレリアンはデスクの椅子をベッドサイドに置き、ルフェーヌへ座るよう促す。
オレリアンはディエゴの体調不良の原因を話し出す。
ディエゴの体調不良の原因は体質によるもののようだ。
ディエゴは魔法力が非常に高いため炎属性の影響、副作用みたいなものを受けやすいと言う。
ディエゴが日頃から苛立ちを見せるのは炎属性の熱が神経を高ぶらせているせいだ。今回の高熱は炎属性の熱が発散できずに身体に溜まってしまったため、高熱を出してしまった。
解決方法は魔法薬を飲み、身体の熱を冷ます事しができない。三日ほどで熱が下がる時もあれば一週間近く続く事もあるという。
「ディエゴ様、そうだったのですね」
ルフェーヌは苦しそうに汗をかきながらうなされるディエゴの顔を見る。魔法を使えないルフェーヌはディエゴがそのような苦しみを抱えている事に気づかなかった。
ルフェーヌは絶大な魔法力を持っているディエゴが羨ましいと思っていた。ルフェーヌはディエゴの苦しみも理解せず単に羨ましいとだけ思ってしまった自分を恥じる。
「以前にディエゴ様が苛立ちを対処すると言っていたわ。自分の体質の事だからだったのね」
オレリアンが頷く。ルフェーヌはディエゴがそう言って以降は苛立ったディエゴを見ていない事に気づく。
「王太子殿下は非常に気位が高いお方です。弱みのような事を他人に知られるのを嫌っています。なので婚約者であるルフェーヌ様でも慎重になっておりました。失礼をお許しください」
オレリアンは深々と頭を下げる。ルフェーヌは「気にしていない」と伝える。
「ルフェーヌ様は朝食がまだでしたね。いま持って参りますので、そのまま王太子殿下の看病をお願い致します」
オレリアンはルフェーヌの朝食をとりに寝室を出ようとすると、ルフェーヌはオレリアンを呼び止める。
「わたし、ディエゴ様をお支えできるようになります」
オレリアンはルフェーヌにお辞儀をして寝室を出る。
ルフェーヌはお飾りとしてでもディエゴを支えようと心に決める。
ルフェーヌが食堂で朝食に来ないディエゴを心配していると執事のオレリアンが一人でがやってきた。オレリアンはルフェーヌのそばまでやってきて耳打ちするように報告をする。
「ルフェーヌ様、申し訳ございません。ディエゴ王太子殿下は体調を崩されてお休みになっております。本日はお一人での食事をお許しください」
オレリアンはそれだけ言うと、ルフェーヌへお辞儀をして去っていった。
(どうしたのかな……)
ルフェーヌは昨日のディエゴと会った時の事を思い出す。昨日は普段通り一緒に食事をしていた。いつもより水をよく飲むと思ったが、特に体調が悪そうには見えなかった。
ルフェーヌは席を立ち上がり、ディエゴの寝室へ向かう。
ルフェーヌはディエゴの寝室の前までやってきた。控えめにノックをするが、返事がない。眠っているのかもしれない。ルフェーヌはこのまま帰ろうと踵を返そうとするが、足が動かない。
ルフェーヌはディエゴの事がどうしても気になり、許可を得ずに扉を開けて寝室へ入る。
ルフェーヌは明るい寝室へ入るのは初めてだ。ディエゴの寝室がよく見える。部屋にはベッド、デスク、チェスト、サイドテーブルなどが置かれ、余計なものは出てはいない。必要最低限のものしか置かれていない印象だ。
キングサイズのベッドが盛り上がっている。ルフェーヌはベッドに近づいて様子をうかがう。
「ディエゴ様……」
ディエゴは荒い呼吸で大量に汗をかき、発熱で顔を紅潮させてうなされているように見える。ルフェーヌは普段は強気なディエゴがうなされている姿を見て不安になる。
ルフェーヌはディエゴの額に手を当てる。
「熱いわ」
額に触れただけで高熱だと言う事が分かる。一体何度の熱が出ているのだろう。
ルフェーヌは何か冷やせるものはないかと部屋を見渡したが、何もなかった。ルフェーヌは部屋の窓が閉まっていたので、窓を開けに窓辺へ歩く。
窓からは青空とパイロープの街が見える。ルフェーヌが窓を開けると、爽やかな風が室内に入る。気持ちの良い風を感じていると寝室の扉が開く。
「ルフェーヌ様、いらしていたのですね。朝食はお召し上がりになりましたか?」
オレリアンはルフェーヌがいる事に一瞬驚いた表情を見せて寝室へ入る。オレリアンは銀色のトレイには水差し、氷のうとその換えの氷が入ったボールが乗っている。
「朝食はまだよ。失礼かと思ったけど、どうしてもディエゴ様の容態が気になって勝手に寝室へ入ってしまったわ」
オレリアンは「そうですか」とルフェーヌへ返し、ベッドサイドにあるサイドテーブルの上に水差しと氷のうとボールを置く。
「先程、王太子殿下は魔法薬を飲まれてお休みになっています」
魔法薬とは魔法薬を処方できる専門職が処方した薬のことだ。魔法の力を帯びた生薬から処方をするので魔法薬と呼ばれている。
「わたしに何かできることはありますか?」
オレリアンは口を閉じたまま、ルフェーヌから視線を下に向けて何かを考えているように見える。
「お邪魔でしたら、わたしは帰ります」
ルフェーヌは何もできないと思い、寝室を出て行こうとする。
「ルフェーヌ様」
ルフェーヌは寝室から出ようとした時、オレリアンに呼び止められる。ルフェーヌは寝室を出て行かず、オレリアンへ振り返る。
「ルフェーヌ様は王太子殿下をお支えする覚悟はございますか?」
ルフェーヌは即答せず、長考する。オレリアンが言いたいのはお飾りとしてだろうか。ルフェーヌはそのつもりでディエゴの元へやってきた。しかし今は個人的にディエゴの事が心配だ。
ディエゴが心配だが、覚悟があるかと問われるとルフェーヌは自信がなくて答える事ができない。
「申し訳ございませんが、覚悟がないようでしたらお帰りください」
オレリアンの毅然とした言葉にルフェーヌは何も言う事ができない。しかしこのまま帰る事はできない。
「オレリアンさん、正直に言います。わたしは今はまだディエゴ様を支える覚悟があると言い切れません。自信がありません」
ルフェーヌは威圧感と感情の起伏が激しいディエゴを支えられるのか自信がない。
ルフェーヌはディエゴに泣かされそうになり、からかわれたり、褒められたり、いろいろな感情を知った。
以前のルフェーヌならばオレリアンに言われて帰っていたかもしれない。しかし今のルフェーヌは帰りたくないとハッキリとした意志を持っている。
「わたしはこんなに苦しんでいるディエゴ様のそばを離れる事はできないわ。ディエゴ様のそばにいたいの」
オレリアンはルフェーヌに真っ直ぐ視線を向ける。ルフェーヌはオレリアンから目を逸らさずしっかりと意志を伝えるように視線を向ける。
オレリアンはルフェーヌの意志に応え、口を開く。
「ルフェーヌ様のお気持ちは分かりました。私はルフェーヌ様を信じます」
オレリアンはルフェーヌへ近づき、ルフェーヌが帰ろうとして開けた扉を閉める。
「私の話を他の誰にも口外せず、ルフェーヌ様の胸に留めておいてください」
オレリアンはデスクの椅子をベッドサイドに置き、ルフェーヌへ座るよう促す。
オレリアンはディエゴの体調不良の原因を話し出す。
ディエゴの体調不良の原因は体質によるもののようだ。
ディエゴは魔法力が非常に高いため炎属性の影響、副作用みたいなものを受けやすいと言う。
ディエゴが日頃から苛立ちを見せるのは炎属性の熱が神経を高ぶらせているせいだ。今回の高熱は炎属性の熱が発散できずに身体に溜まってしまったため、高熱を出してしまった。
解決方法は魔法薬を飲み、身体の熱を冷ます事しができない。三日ほどで熱が下がる時もあれば一週間近く続く事もあるという。
「ディエゴ様、そうだったのですね」
ルフェーヌは苦しそうに汗をかきながらうなされるディエゴの顔を見る。魔法を使えないルフェーヌはディエゴがそのような苦しみを抱えている事に気づかなかった。
ルフェーヌは絶大な魔法力を持っているディエゴが羨ましいと思っていた。ルフェーヌはディエゴの苦しみも理解せず単に羨ましいとだけ思ってしまった自分を恥じる。
「以前にディエゴ様が苛立ちを対処すると言っていたわ。自分の体質の事だからだったのね」
オレリアンが頷く。ルフェーヌはディエゴがそう言って以降は苛立ったディエゴを見ていない事に気づく。
「王太子殿下は非常に気位が高いお方です。弱みのような事を他人に知られるのを嫌っています。なので婚約者であるルフェーヌ様でも慎重になっておりました。失礼をお許しください」
オレリアンは深々と頭を下げる。ルフェーヌは「気にしていない」と伝える。
「ルフェーヌ様は朝食がまだでしたね。いま持って参りますので、そのまま王太子殿下の看病をお願い致します」
オレリアンはルフェーヌの朝食をとりに寝室を出ようとすると、ルフェーヌはオレリアンを呼び止める。
「わたし、ディエゴ様をお支えできるようになります」
オレリアンはルフェーヌにお辞儀をして寝室を出る。
ルフェーヌはお飾りとしてでもディエゴを支えようと心に決める。