妹に虐げられて魔法が使えない無能王女は、政略結婚でお飾り王太子妃になるはずなのに俺様王太子に溺愛されています
13.魔法練習のはずですが!?
翌日。ルフェーヌとディエゴは動きやすい服装で朝食を済ませると、デュエロテアトルムという円形闘技場へやってきた。城から闘技場まで距離があるため使用時以外は誰もいない。
人目を気にせず誰にも邪魔されないで練習できると思い、ディエゴはこの場所でルフェーヌに魔法を教える事にした。
人目を避けるのは王族として魔法を扱えて当然のはずの王女ルフェーヌが魔法を教わるという事は魔法ができないと思われてしまうため、それを避けるためだ。
ルフェーヌはディエゴに動きやすい服装と言われ、ジョゼと相談して決めた。服装はフリルが付いた白いブラウス、濃茶の丈が短いキュロットスカート、黒のショートソックス、焦げ茶でヒールの低い靴を履いている。
ジョゼはドレスやワンピース、長いスカートが苦手で動きやすい服装として短いキュロットスカートをルフェーヌへ貸した。
ルフェーヌはディエゴに服装を似合うと褒められ、嬉しそうに微笑んだ。
ディエゴはシンプルな服装だ。ノーネクタイにワイシャツ、黒のチノパンのようなズボン、黒のブーツをはいている。
古代のパイロープ国では国王を決闘で決めていたが、現在は廃止されている。ここは魔法戦闘員たちの士気をを高めるために年に一度開かれる大会の時に使用されている。
二人は闘技場の奥へ行かず、観客席付近で練習する。
「闘技場は暑いですね、初めて来ました。母国の闘技場と似ていますけど、使用方法は国によって全然違いますね」
ルフェーヌの国にも闘技場のようなものはあるが、人が戦うというより暴れ牛を押さえ込んで檻の中へ入れる事を見世物にしている。
「俺の国では戦いの歴史が長いからな。予習はしてきたか?」
ルフェーヌが両手で抱えている、ディエゴがルフェーヌへ今日の予習として渡した魔法属性一覧に視線を移す。
「予習してきましたよ、ディエゴ先生」
ルフェーヌは魔法を学べるのが嬉しくて笑顔でディエゴを先生と呼ぶ。
「先生か、いいだろう」
ディエゴはルフェーヌに先生と呼ばれ、嬉しそうに得意げな顔をする。
「音属性は俺も書物に書いてある事しか分からない。一緒に学んでいこう」
ルフェーヌはディエゴへ元気に返事をする。
王室には専属の魔法学の教師や魔法戦闘訓練師がいるが、ディエゴが教えてくれる事になった。ルフェーヌの音属性は教ほとんどの人が知らない属性だ。この書物を見て学ぶ以外にない。
「最初は何をすればいいですか?」
ルフェーヌは音属性のページを開き、ディエゴへたずねる。
「まずは遮音遮断を覚えた方がいいな」
ディエゴが書物に記述されている場所を指さす。
遮音遮断とは、周囲の音や相手の声によって伝わってくる感情を意識的に低減または遮断する方法だ。
「音属性により感受性が通常の人間より強くなっている。声から発する相手の感情を受け取りやすい。これを自在に使えれば、お前が声の感情を聞きたい相手にだけ発動できる」
ディエゴは書物に書いてある事を何も調べずにスラスラと声に出して読み上げる。ルフェーヌが感心するとディエゴは「子供の頃にこの本を何度も読んだ」と返した。
「俺が練習相手になってやる。照れなくなったら習得完了だな」
ルフェーヌはこれからどんな練習をするのか分からずにいると、突然ディエゴに肩を抱かれる。
「きゃあ! なんですか?」
いきなり距離が近くなり、ルフェーヌは頬を染める。ディエゴはルフェーヌのペリドット色の瞳を真っ直ぐに見つめる。ルフェーヌはこれだけでも鼓動を速くさせる。
「可愛い」
「……!」
ディエゴはルフェーヌを誘うような、色香を含ませた声で言うと、ルフェーヌは一瞬で顔を沸騰させるように赤くする。
「遮音遮断を意識しないとダメだろ。もう一度言うからな。……可愛い」
「ディエゴ様、どうやって意識すればいいんですか?」
ルフェーヌは自分の肩を抱いているディエゴを顔が真っ赤のまま見上げる。
「俺は音属性を持っていないから分からない。書物に書かれている事を試してみろ。もう一度言うぞ」
「待って! 分からないですっ!!」
ルフェーヌは頭の中がフワフワして桃色になっている。ディエゴに習得できるまで続けられたら、どうにかなってしまいそうだ。
「可愛い。お前が一番かわいい」
耳元で囁かれ、ディエゴの声で頭の中が桃色に溶かされていく。
「ひゃあぁ……」
ルフェーヌは書物に書いてある事を試す余裕もなく、ディエゴに肩を抱かれて逃げられず頭の中を桃色のチョコレートのように溶かされていった。
どのくらい時間が経っただろうか。長い時間が経ったような気がするが、実際にはさほど時間が経っていないような気がする。
ルフェーヌは立っていられず、その場にへたり込んでいる。ディエゴもその場に座り込み、ルフェーヌの肩を抱き続け色香を含ませた声をやめない。
ルフェーヌの頭の中はディエゴの色香の甘い声がずっと反響している。ディエゴの声が頭に残り、溶けたチョコレートを混ぜるように頭が回っている。
ルフェーヌは疲弊した表情で頬を桃色に染め、ディエゴに力なく寄りかかっている。ディエゴは自分の言葉でそうなってしまったルフェーヌを可愛く愛おしく思う。
ディエゴは目を見開き、突然呟く。
「しまった」
ディエゴは可愛らしく疲弊しているルフェーヌを見て何かに気づいたようだ。
ルフェーヌは力なくディエゴを見上げると、ディエゴは失敗したと言わん顔でルフェーヌと視線を合わせる。
「ルフェーヌに俺の声を遮音遮断されては困る。明日からは別の方法にしよう」
「…………」
ルフェーヌは何かを言う気力がなかった。今までの時間は何だったのだろうか。ルフェーヌがディエゴの甘い言葉を長時間浴びただけの時間になった。おかげでディエゴから見たルフェーヌは可愛いという事がルフェーヌ自身に刷り込まれた。
人目を気にせず誰にも邪魔されないで練習できると思い、ディエゴはこの場所でルフェーヌに魔法を教える事にした。
人目を避けるのは王族として魔法を扱えて当然のはずの王女ルフェーヌが魔法を教わるという事は魔法ができないと思われてしまうため、それを避けるためだ。
ルフェーヌはディエゴに動きやすい服装と言われ、ジョゼと相談して決めた。服装はフリルが付いた白いブラウス、濃茶の丈が短いキュロットスカート、黒のショートソックス、焦げ茶でヒールの低い靴を履いている。
ジョゼはドレスやワンピース、長いスカートが苦手で動きやすい服装として短いキュロットスカートをルフェーヌへ貸した。
ルフェーヌはディエゴに服装を似合うと褒められ、嬉しそうに微笑んだ。
ディエゴはシンプルな服装だ。ノーネクタイにワイシャツ、黒のチノパンのようなズボン、黒のブーツをはいている。
古代のパイロープ国では国王を決闘で決めていたが、現在は廃止されている。ここは魔法戦闘員たちの士気をを高めるために年に一度開かれる大会の時に使用されている。
二人は闘技場の奥へ行かず、観客席付近で練習する。
「闘技場は暑いですね、初めて来ました。母国の闘技場と似ていますけど、使用方法は国によって全然違いますね」
ルフェーヌの国にも闘技場のようなものはあるが、人が戦うというより暴れ牛を押さえ込んで檻の中へ入れる事を見世物にしている。
「俺の国では戦いの歴史が長いからな。予習はしてきたか?」
ルフェーヌが両手で抱えている、ディエゴがルフェーヌへ今日の予習として渡した魔法属性一覧に視線を移す。
「予習してきましたよ、ディエゴ先生」
ルフェーヌは魔法を学べるのが嬉しくて笑顔でディエゴを先生と呼ぶ。
「先生か、いいだろう」
ディエゴはルフェーヌに先生と呼ばれ、嬉しそうに得意げな顔をする。
「音属性は俺も書物に書いてある事しか分からない。一緒に学んでいこう」
ルフェーヌはディエゴへ元気に返事をする。
王室には専属の魔法学の教師や魔法戦闘訓練師がいるが、ディエゴが教えてくれる事になった。ルフェーヌの音属性は教ほとんどの人が知らない属性だ。この書物を見て学ぶ以外にない。
「最初は何をすればいいですか?」
ルフェーヌは音属性のページを開き、ディエゴへたずねる。
「まずは遮音遮断を覚えた方がいいな」
ディエゴが書物に記述されている場所を指さす。
遮音遮断とは、周囲の音や相手の声によって伝わってくる感情を意識的に低減または遮断する方法だ。
「音属性により感受性が通常の人間より強くなっている。声から発する相手の感情を受け取りやすい。これを自在に使えれば、お前が声の感情を聞きたい相手にだけ発動できる」
ディエゴは書物に書いてある事を何も調べずにスラスラと声に出して読み上げる。ルフェーヌが感心するとディエゴは「子供の頃にこの本を何度も読んだ」と返した。
「俺が練習相手になってやる。照れなくなったら習得完了だな」
ルフェーヌはこれからどんな練習をするのか分からずにいると、突然ディエゴに肩を抱かれる。
「きゃあ! なんですか?」
いきなり距離が近くなり、ルフェーヌは頬を染める。ディエゴはルフェーヌのペリドット色の瞳を真っ直ぐに見つめる。ルフェーヌはこれだけでも鼓動を速くさせる。
「可愛い」
「……!」
ディエゴはルフェーヌを誘うような、色香を含ませた声で言うと、ルフェーヌは一瞬で顔を沸騰させるように赤くする。
「遮音遮断を意識しないとダメだろ。もう一度言うからな。……可愛い」
「ディエゴ様、どうやって意識すればいいんですか?」
ルフェーヌは自分の肩を抱いているディエゴを顔が真っ赤のまま見上げる。
「俺は音属性を持っていないから分からない。書物に書かれている事を試してみろ。もう一度言うぞ」
「待って! 分からないですっ!!」
ルフェーヌは頭の中がフワフワして桃色になっている。ディエゴに習得できるまで続けられたら、どうにかなってしまいそうだ。
「可愛い。お前が一番かわいい」
耳元で囁かれ、ディエゴの声で頭の中が桃色に溶かされていく。
「ひゃあぁ……」
ルフェーヌは書物に書いてある事を試す余裕もなく、ディエゴに肩を抱かれて逃げられず頭の中を桃色のチョコレートのように溶かされていった。
どのくらい時間が経っただろうか。長い時間が経ったような気がするが、実際にはさほど時間が経っていないような気がする。
ルフェーヌは立っていられず、その場にへたり込んでいる。ディエゴもその場に座り込み、ルフェーヌの肩を抱き続け色香を含ませた声をやめない。
ルフェーヌの頭の中はディエゴの色香の甘い声がずっと反響している。ディエゴの声が頭に残り、溶けたチョコレートを混ぜるように頭が回っている。
ルフェーヌは疲弊した表情で頬を桃色に染め、ディエゴに力なく寄りかかっている。ディエゴは自分の言葉でそうなってしまったルフェーヌを可愛く愛おしく思う。
ディエゴは目を見開き、突然呟く。
「しまった」
ディエゴは可愛らしく疲弊しているルフェーヌを見て何かに気づいたようだ。
ルフェーヌは力なくディエゴを見上げると、ディエゴは失敗したと言わん顔でルフェーヌと視線を合わせる。
「ルフェーヌに俺の声を遮音遮断されては困る。明日からは別の方法にしよう」
「…………」
ルフェーヌは何かを言う気力がなかった。今までの時間は何だったのだろうか。ルフェーヌがディエゴの甘い言葉を長時間浴びただけの時間になった。おかげでディエゴから見たルフェーヌは可愛いという事がルフェーヌ自身に刷り込まれた。