妹に虐げられて魔法が使えない無能王女は、政略結婚でお飾り王太子妃になるはずなのに俺様王太子に溺愛されています
14.幻の青い炎
ルフェーヌはディエゴの甘い言葉を浴びて疲れてしまい、練習どころではなくなってしまった。代わりにディエゴが練習すると言って、書物を見ながら始めた。書物は炎魔法のページが開かれている。
ディエゴは何度も右手、手のひらに紋章を浮かび上がらせ、手を赤く燃やして炎魔法を練習している。ルフェーヌはその様子をその場に座って眺めている。
会話ができるくらいに疲労が回復したルフェーヌは練習しているディエゴにたずねる。
「ディエゴ様は何を練習しているのですか?」
ディエゴはルフェーヌが休んでいる間の会話で炎魔法を完璧に使いこなせると言っていた。まだ何か書物で学ぶものがあるのだろうか。
ディエゴはルフェーヌの横に置かれている書物を手に取り、炎魔法についての記述を指さす。
「青い炎。青い炎という意味だが、この炎魔法だけ扱えない。古い魔法で、今は知っている人物はいないだろう」
ディエゴはルフェーヌの横に座り、青空を見上げて語り出す。
「子供の頃に調べ物をしていて、たまたま青い炎の事を知った。幻の炎と書かれている。青い炎、これを出現させられる者は全ての炎を制すると書かれている」
「全ての炎を制する……。あとはこの青い炎の炎魔法だけなのですね。やっぱりディエゴ様はすごいわ。ディエゴ様なら絶対に出せるわ!」
「しかし出し方が全く分からない。書物には”完全燃焼するほどの熱”とだけ書かれている。どういう意味なんだ」
この一行だけではどんな熱を指しているのか分からない。
一般的に完全燃焼とは燃料などの可燃物に十分な酸素が供給されて、すべての燃料が燃え尽きることを指す。魔法で出現させる炎の熱を言っているのか、別の意味を言っているのか検討がつかない。
「高音の炎を出す意味かと思い、子供の頃に必死に練習したが出せなかった。今なら出せるかと思ったが……。お前も風魔法を練習してみろよ。今ならできるんじゃないか?」
「え……、でも……」
ルフェーヌは表情を暗くする。
「幼い頃はできていたんだろ?」
ルフェーヌはディエゴが練習を始める前まで自分が魔法が使えなくなった経緯を話していた。ディエゴはそれを黙って聞いていた。
ルフェーヌは魔法を使えなくなった事を誰にも話した事はなかった。ディエゴが黙って聞いていてくれたおかげで話す事ができた。ディエゴはそれを知ってルフェーヌへ練習を勧めている。
ディエゴは書物の風魔法のページを開いて指す。
「風魔法は”風のように自由な心が大事”と書かれている。ここに来て環境が変わったんだ。気が向いたらやってみろよ」
ルフェーヌは書物を手に取り、ディエゴの言葉を繰り返して呟く。
自由な心。ルフェーヌの心は蓋をして閉じられたままだ。しかしディエゴと過ごす日々によって心の蓋は緩んできている。ルフェーヌはその事には無自覚だが、ディエゴと日々を楽しく過ごせていると思っている。
母国にいた時とは違う。ルフェーヌはディエゴと一緒にいると楽しく自由な心を感じる。もしかしたらディエゴの言う通り、できるようになるかもしれない。ルフェーヌは勇気を出すことに決めた。
「わたしやってみます。できるか分からないけど、母国にいる時よりディエゴ様と一緒にいる時の方が楽しいわ。だから、出来るかも! ……でも、できなくても嫌いにならないでくださいね?」
ルフェーヌはできる自信がなくて、最後の言葉を付け加えてしまった。
「なるかよ。俺は青い炎の練習。ルフェーヌは音魔法と風魔法の練習だな」
「ディエゴ先生と一緒に頑張ります!」
ディエゴは気合いが入っているルフェーヌに微笑む。
「それでこそ、俺の女だ。ルフェーヌ」
「えっ?」
ルフェーヌの顔がまた赤くなる。ディエゴに名前で呼ばれ、ディエゴの婚約者と認めてもらえたようで嬉しくなってディエゴを見上げる。
「褒めただけだ」
ディエゴはルフェーヌの頭を撫でる。大きく優しいあたたかい手に頭を撫でられると幸せな気持ちになる。
その日からルフェーヌとディエゴは魔法の練習を始めた。自主練をしたり、時間を作って二人で練習をした。
ディエゴはルフェーヌが何かができるようになる度に頭を撫でて褒めた。
ルフェーヌは魔法が上達する事と、ディエゴに褒められる事が嬉しくて結婚式の準備の合間を縫って熱心に練習をした。
練習の甲斐があり、ルフェーヌは音魔法がどんなものか理解していった。風魔法はできるまでに時間がかかったが、少しだけでも風を起こせるようになり、ルフェーヌは心底嬉しく笑っていた。
風魔法を使えるようになり嬉しくなったルフェーヌは浮遊風、浮遊する風という空を飛ぶ事ができる難易度の高い魔法を使いたいと躍起になって練習している。
ディエゴは何度も右手、手のひらに紋章を浮かび上がらせ、手を赤く燃やして炎魔法を練習している。ルフェーヌはその様子をその場に座って眺めている。
会話ができるくらいに疲労が回復したルフェーヌは練習しているディエゴにたずねる。
「ディエゴ様は何を練習しているのですか?」
ディエゴはルフェーヌが休んでいる間の会話で炎魔法を完璧に使いこなせると言っていた。まだ何か書物で学ぶものがあるのだろうか。
ディエゴはルフェーヌの横に置かれている書物を手に取り、炎魔法についての記述を指さす。
「青い炎。青い炎という意味だが、この炎魔法だけ扱えない。古い魔法で、今は知っている人物はいないだろう」
ディエゴはルフェーヌの横に座り、青空を見上げて語り出す。
「子供の頃に調べ物をしていて、たまたま青い炎の事を知った。幻の炎と書かれている。青い炎、これを出現させられる者は全ての炎を制すると書かれている」
「全ての炎を制する……。あとはこの青い炎の炎魔法だけなのですね。やっぱりディエゴ様はすごいわ。ディエゴ様なら絶対に出せるわ!」
「しかし出し方が全く分からない。書物には”完全燃焼するほどの熱”とだけ書かれている。どういう意味なんだ」
この一行だけではどんな熱を指しているのか分からない。
一般的に完全燃焼とは燃料などの可燃物に十分な酸素が供給されて、すべての燃料が燃え尽きることを指す。魔法で出現させる炎の熱を言っているのか、別の意味を言っているのか検討がつかない。
「高音の炎を出す意味かと思い、子供の頃に必死に練習したが出せなかった。今なら出せるかと思ったが……。お前も風魔法を練習してみろよ。今ならできるんじゃないか?」
「え……、でも……」
ルフェーヌは表情を暗くする。
「幼い頃はできていたんだろ?」
ルフェーヌはディエゴが練習を始める前まで自分が魔法が使えなくなった経緯を話していた。ディエゴはそれを黙って聞いていた。
ルフェーヌは魔法を使えなくなった事を誰にも話した事はなかった。ディエゴが黙って聞いていてくれたおかげで話す事ができた。ディエゴはそれを知ってルフェーヌへ練習を勧めている。
ディエゴは書物の風魔法のページを開いて指す。
「風魔法は”風のように自由な心が大事”と書かれている。ここに来て環境が変わったんだ。気が向いたらやってみろよ」
ルフェーヌは書物を手に取り、ディエゴの言葉を繰り返して呟く。
自由な心。ルフェーヌの心は蓋をして閉じられたままだ。しかしディエゴと過ごす日々によって心の蓋は緩んできている。ルフェーヌはその事には無自覚だが、ディエゴと日々を楽しく過ごせていると思っている。
母国にいた時とは違う。ルフェーヌはディエゴと一緒にいると楽しく自由な心を感じる。もしかしたらディエゴの言う通り、できるようになるかもしれない。ルフェーヌは勇気を出すことに決めた。
「わたしやってみます。できるか分からないけど、母国にいる時よりディエゴ様と一緒にいる時の方が楽しいわ。だから、出来るかも! ……でも、できなくても嫌いにならないでくださいね?」
ルフェーヌはできる自信がなくて、最後の言葉を付け加えてしまった。
「なるかよ。俺は青い炎の練習。ルフェーヌは音魔法と風魔法の練習だな」
「ディエゴ先生と一緒に頑張ります!」
ディエゴは気合いが入っているルフェーヌに微笑む。
「それでこそ、俺の女だ。ルフェーヌ」
「えっ?」
ルフェーヌの顔がまた赤くなる。ディエゴに名前で呼ばれ、ディエゴの婚約者と認めてもらえたようで嬉しくなってディエゴを見上げる。
「褒めただけだ」
ディエゴはルフェーヌの頭を撫でる。大きく優しいあたたかい手に頭を撫でられると幸せな気持ちになる。
その日からルフェーヌとディエゴは魔法の練習を始めた。自主練をしたり、時間を作って二人で練習をした。
ディエゴはルフェーヌが何かができるようになる度に頭を撫でて褒めた。
ルフェーヌは魔法が上達する事と、ディエゴに褒められる事が嬉しくて結婚式の準備の合間を縫って熱心に練習をした。
練習の甲斐があり、ルフェーヌは音魔法がどんなものか理解していった。風魔法はできるまでに時間がかかったが、少しだけでも風を起こせるようになり、ルフェーヌは心底嬉しく笑っていた。
風魔法を使えるようになり嬉しくなったルフェーヌは浮遊風、浮遊する風という空を飛ぶ事ができる難易度の高い魔法を使いたいと躍起になって練習している。