妹に虐げられて魔法が使えない無能王女は、政略結婚でお飾り王太子妃になるはずなのに俺様王太子に溺愛されています
15.無能王女はもういないのに
 スフェーンの国は盛夏が過ぎて残暑の季節になっていた。
 今年の夏は風が弱く、暑い夏だった。普段は清々しい風が吹き、多くの風車がよく回っている。
 スフェーンの国は風車を使って製粉をし、地下水をくみ上げている。風が弱いためにそれが滞り、人力で行う事が多く、人々の暮らしに影響を与えていた。
 国民への影響は天候だけではなかった。
 ルフェーヌがパイロープ国へ嫁いだため、彼女が行っていた慈善活動の公務は手薄になってしまった。
 ルフェーヌの慈善活動を支えていた職員たちは以前からあった病院や施設への支援改悪案を押し切られてしまいそうになる。国民たちは支援制度改悪の改正や支援金減額などの噂を耳にするようになった。
 ルフェーヌへ手紙を送った小児病院をはじめ、ルフェーヌが慈善活動で訪れていた病院や施設から不満の声が上がり始める。
 国民たちがルフェーヌのありがたさを感じて病院や施設を中心に支持する声が上がり、国民の王室への風当たりが強くなっている。
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