妹に虐げられて魔法が使えない無能王女は、政略結婚でお飾り王太子妃になるはずなのに俺様王太子に溺愛されています
21.インフェルノに恋い焦がれて(前編)
残暑が続くパイロープ国。ルフェーヌには残暑とは思えない気温が続いている。
暑さに参っていると朝食の時にディエゴに話すと昼食時にジェラードを用意してくれた。ルフェーヌとディエゴは笑い合ってジェラードを食べた。
ルフェーヌの今日の予定は午後にある打ち合わせを終えれば予定はなかった。
ルフェーヌは打ち合わせ前に宿題にされていた楽譜をディエゴへ届けに執務室へ向かう。ルフェーヌは執務室の扉をノックして入る。
「ディエゴ様、楽譜が完成しました」
ルフェーヌが声をかけると、書物机に向かっているディエゴは手を止めてルフェーヌに視線を向ける。ルフェーヌはディエゴの元へ歩いて近づく。
「ありがとう。これであの時のお前の気持ちは俺のものだな」
ディエゴは楽譜を受け取るためにルフェーヌへ手を差し出す。ルフェーヌはディエゴの言葉によって先日の舞踏場での事が蘇る。ルフェーヌは照れて顔を赤くする。
「……どうした、早く渡せ」
ディエゴはなかなか楽譜を渡さないルフェーヌにしびれを切らして急かす。
「やっぱり見せるのが恥ずかしいです」
ルフェーヌはディエゴに”あの時の気持ち”と言われて恥ずかしくなり、楽譜を渡すのを渋る。
「ほう」
ディエゴは口角を上げて挑戦的に笑う。ディエゴは立ち上がり、ルフェーヌを本棚へ追い詰める。
片手を付いてルフェーヌの逃げ場をなくす。ルフェーヌは追い詰められ、鼓動が大きく弾む。
「ピアノで俺を誘うように呼んでおいて、まだそんなことを言うのか。早く渡せ」
ディエゴは片肘をついてルフェーヌとの距離を詰めて手を差し出す。ルフェーヌは熱を帯びた瞳でディエゴを見つめる。
「ち、近いです……」
ルフェーヌは顔を紅潮させていき、ディエゴから顔を逸らす。逃げないルフェーヌにディエゴはさらに口角を上げる。
「ルフェーヌ、お前これ好きだよな」
ディエゴはルフェーヌに顔を近づけ、自覚させるように呟く。以前やった時もルフェーヌは同じ反応をしていた。
ルフェーヌはディエゴに迫られるのが好きと言われ照れて肯定できずに顔を逸らしたままでいる。
「今度もこうやって受け取ってやるよ」
ディエゴはルフェーヌが抱えている楽譜を無断で受け取り、席に戻ると楽譜を眺める。
「ルフェーヌに音楽の才能があるとは驚きだ。歌手やピアニストになれるだろうな」
ディエゴは楽譜に目を通していき、率直な感想を伝える。
「わたしが歌手やピアニストに……」
ルフェーヌは自分にそのような選択肢があると思わなかった。
ルフェーヌは学院生まで王室専属の講師にピアノを習っていた。当時の講師はルフェーヌが王女ではければピアニストにしていたと言っていたのを思い出す。しかし当時のルフェーヌは自分にそんなに才能があるとは思えなかった。
「その選択肢もあったという事だ。ルフェーヌは俺の婚約者であと数ヶ月もすれば王太子妃だ。それにルフェーヌの歌と音楽は俺だけもものだ。特にこのような音楽は、な?」
ディエゴはからかような笑みをルフェーヌに向けて楽譜を見せる。ルフェーヌは照れて微笑み、頷く。
「ルフェーヌに話がある。今夜、空けておけ」
「今夜ですか?」
ルフェーヌはディエゴからの突然の誘いに目を丸くする。
「城の裏にある森へ出かける。残暑で冷えないと思うが、寒くない服装で来い。庭園で待っている」
「何をしに行くのですか?」
「森といっても城の敷地内で獣は出ない。安心して楽しみに待っていろ」
「分かりました。楽しみにしていますね」
ルフェーヌはディエゴにお辞儀をして執務室から出て行く。
ディエゴから誘われて上機嫌のルフェーヌ。軽やかな足どりで打ち合わせに向かっていると、ジョゼに声をかけられる。
「ルフェーヌちゃん、部屋に行ったらいなかったから心配したよ。もう打ち合わせ場所に向かってたんだね。……あれ、なんか機嫌が良い?」
「えっ? そうかしら?」
ルフェーヌはディエゴに誘われて機嫌が良い事に気づかれるのが恥ずかしくてごまかす。
「絶対そうだよ~。王太子殿下と上手くいってるんでしょ?」
ルフェーヌは照れながら頷く。
「やっぱりね! アタシが王太子殿下に焼きを入れた甲斐があるってもんよ! 効果はてきめんだったね」
ジョゼは自身がディエゴの執務室に乗り込んだ時の事を思い出している。
「その時はありがとう。ジャンヌさんに聞いてもいい? 夜の森で何をするか知ってる?」
「夜の森? ビビり大会とか」
ルフェーヌは初めて聞く言葉を聞き返す。
「夜の森って暗くてなんか怖いじゃん。暗い森でビビりまくった人が優勝、なんだけど。違う?」
ジョゼはルフェーヌの表情が暗くなった事に気づき、言葉尻を小さくする。
「ディエゴ様ってそういうの好きなのかな」
ルフェーヌは自分が怖がっている所をディエゴが見て楽しんでいるのかと思うと今夜が不安になった。
「え? 王太子殿下と行くの? 早く言ってよ~。ビビり大会なわけないじゃん。デートだよ、デート!」
ジョゼはビビり大会と答えた自分を自笑する。
「デート?」
「きっとロマンチックに星とか見るんじゃない? いつ行くの?」
ルフェーヌは「今夜」と答えると、ジョゼは意気込む。
「今夜だね。アタシがルフェーヌちゃんのデート服を選んであげるよ!」
「ジョゼさん!?
ジョゼはルフェーヌの制止を気にせず、自分の役目とばかりに意気込んでルフェーヌの部屋へ向かった。
ルフェーヌは追いかけて打ち合わせに遅れては困るので、そのまま打ち合わせに向かった。
暑さに参っていると朝食の時にディエゴに話すと昼食時にジェラードを用意してくれた。ルフェーヌとディエゴは笑い合ってジェラードを食べた。
ルフェーヌの今日の予定は午後にある打ち合わせを終えれば予定はなかった。
ルフェーヌは打ち合わせ前に宿題にされていた楽譜をディエゴへ届けに執務室へ向かう。ルフェーヌは執務室の扉をノックして入る。
「ディエゴ様、楽譜が完成しました」
ルフェーヌが声をかけると、書物机に向かっているディエゴは手を止めてルフェーヌに視線を向ける。ルフェーヌはディエゴの元へ歩いて近づく。
「ありがとう。これであの時のお前の気持ちは俺のものだな」
ディエゴは楽譜を受け取るためにルフェーヌへ手を差し出す。ルフェーヌはディエゴの言葉によって先日の舞踏場での事が蘇る。ルフェーヌは照れて顔を赤くする。
「……どうした、早く渡せ」
ディエゴはなかなか楽譜を渡さないルフェーヌにしびれを切らして急かす。
「やっぱり見せるのが恥ずかしいです」
ルフェーヌはディエゴに”あの時の気持ち”と言われて恥ずかしくなり、楽譜を渡すのを渋る。
「ほう」
ディエゴは口角を上げて挑戦的に笑う。ディエゴは立ち上がり、ルフェーヌを本棚へ追い詰める。
片手を付いてルフェーヌの逃げ場をなくす。ルフェーヌは追い詰められ、鼓動が大きく弾む。
「ピアノで俺を誘うように呼んでおいて、まだそんなことを言うのか。早く渡せ」
ディエゴは片肘をついてルフェーヌとの距離を詰めて手を差し出す。ルフェーヌは熱を帯びた瞳でディエゴを見つめる。
「ち、近いです……」
ルフェーヌは顔を紅潮させていき、ディエゴから顔を逸らす。逃げないルフェーヌにディエゴはさらに口角を上げる。
「ルフェーヌ、お前これ好きだよな」
ディエゴはルフェーヌに顔を近づけ、自覚させるように呟く。以前やった時もルフェーヌは同じ反応をしていた。
ルフェーヌはディエゴに迫られるのが好きと言われ照れて肯定できずに顔を逸らしたままでいる。
「今度もこうやって受け取ってやるよ」
ディエゴはルフェーヌが抱えている楽譜を無断で受け取り、席に戻ると楽譜を眺める。
「ルフェーヌに音楽の才能があるとは驚きだ。歌手やピアニストになれるだろうな」
ディエゴは楽譜に目を通していき、率直な感想を伝える。
「わたしが歌手やピアニストに……」
ルフェーヌは自分にそのような選択肢があると思わなかった。
ルフェーヌは学院生まで王室専属の講師にピアノを習っていた。当時の講師はルフェーヌが王女ではければピアニストにしていたと言っていたのを思い出す。しかし当時のルフェーヌは自分にそんなに才能があるとは思えなかった。
「その選択肢もあったという事だ。ルフェーヌは俺の婚約者であと数ヶ月もすれば王太子妃だ。それにルフェーヌの歌と音楽は俺だけもものだ。特にこのような音楽は、な?」
ディエゴはからかような笑みをルフェーヌに向けて楽譜を見せる。ルフェーヌは照れて微笑み、頷く。
「ルフェーヌに話がある。今夜、空けておけ」
「今夜ですか?」
ルフェーヌはディエゴからの突然の誘いに目を丸くする。
「城の裏にある森へ出かける。残暑で冷えないと思うが、寒くない服装で来い。庭園で待っている」
「何をしに行くのですか?」
「森といっても城の敷地内で獣は出ない。安心して楽しみに待っていろ」
「分かりました。楽しみにしていますね」
ルフェーヌはディエゴにお辞儀をして執務室から出て行く。
ディエゴから誘われて上機嫌のルフェーヌ。軽やかな足どりで打ち合わせに向かっていると、ジョゼに声をかけられる。
「ルフェーヌちゃん、部屋に行ったらいなかったから心配したよ。もう打ち合わせ場所に向かってたんだね。……あれ、なんか機嫌が良い?」
「えっ? そうかしら?」
ルフェーヌはディエゴに誘われて機嫌が良い事に気づかれるのが恥ずかしくてごまかす。
「絶対そうだよ~。王太子殿下と上手くいってるんでしょ?」
ルフェーヌは照れながら頷く。
「やっぱりね! アタシが王太子殿下に焼きを入れた甲斐があるってもんよ! 効果はてきめんだったね」
ジョゼは自身がディエゴの執務室に乗り込んだ時の事を思い出している。
「その時はありがとう。ジャンヌさんに聞いてもいい? 夜の森で何をするか知ってる?」
「夜の森? ビビり大会とか」
ルフェーヌは初めて聞く言葉を聞き返す。
「夜の森って暗くてなんか怖いじゃん。暗い森でビビりまくった人が優勝、なんだけど。違う?」
ジョゼはルフェーヌの表情が暗くなった事に気づき、言葉尻を小さくする。
「ディエゴ様ってそういうの好きなのかな」
ルフェーヌは自分が怖がっている所をディエゴが見て楽しんでいるのかと思うと今夜が不安になった。
「え? 王太子殿下と行くの? 早く言ってよ~。ビビり大会なわけないじゃん。デートだよ、デート!」
ジョゼはビビり大会と答えた自分を自笑する。
「デート?」
「きっとロマンチックに星とか見るんじゃない? いつ行くの?」
ルフェーヌは「今夜」と答えると、ジョゼは意気込む。
「今夜だね。アタシがルフェーヌちゃんのデート服を選んであげるよ!」
「ジョゼさん!?
ジョゼはルフェーヌの制止を気にせず、自分の役目とばかりに意気込んでルフェーヌの部屋へ向かった。
ルフェーヌは追いかけて打ち合わせに遅れては困るので、そのまま打ち合わせに向かった。