この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜

抱きしめたい





 慶応四年の年が明けて、私達はみな、いっせいに歳をとる。


 利勝さま、兄さまは十六歳。私は十五歳になった。


 そして三月初旬。
 雪深い会津は まだそこかしこを白く染めたまま。



 江戸に詰めておられた藩士の方がたと、そのご家族が続々と会津へ帰国するなか、
 私はそれを、どこか喜ばしい事のように思っておりました。



 家族はやはり、一緒にいるべきもの。



 私の家では、お父上さまは国許(くにもと)でのお仕事がありましたから上洛なさいませんでしたが、お勤めから戻られた方のお宅は、きっと賑やかになったことでしょう。


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