The previous night of the world revolution4~I.D.~

sideアイズレンシア

─────…ルヴィアの家を出てから。

私は、電話でアシュトーリアさんに事の次第を説明した。

『…そう…』

アシュトーリアさんは、小さくそう言った。

「…アシュトーリアさん。先日私が提案した件…実行に移して良いですね?」

「良いですか?」 ではない。

実行に移すのは、最早決定事項だ。

アシュトーリアさんも、反対はしないだろう。

『…そうね、良いわ。悠長なことをしている暇はないもの』

「分かりました。では…すぐに始めます」

最早、賽は投げられた。

アシュトーリアさんの言う通り。悠長なことをしている暇はない。

すぐに動く。

アシュトーリアさんとの通話を切り、私はアリューシャとシュノを振り返った。

「アリューシャ。今すぐ私の指示するポイントについて。狙撃用意」

「あいよ」

二人には、私はまだ計画の話をしたことはなかった。

しかし、アリューシャは何も聞かずに頷いた。

「シュノは前線で、部隊を指揮して。私が後方で支援する」

「分かったわ」

シュノも同様。

自分に出来ることなら、何でもすると言った。

その言葉に、嘘はない。

「それから準幹部も動かす。ルレイアやルルシーの部下も、アシュトーリアさんの権限で私が直接指揮する」

「大盤振る舞いだなぁ」

感心したように言うアリューシャ。

まぁ、普段はこんなことする機会はないよね。

「相手が相手だからね。手を抜くつもりはない」

「相手って、何?アリューシャ、何を撃てば良いの?」

「帝国騎士団」

さすがに二人共、驚くかなと思ったが。

アリューシャもシュノも、眉一つ動かさなかった。

それどころか。

「へぇ。良い機会じゃないか。アリューシャの超絶スナイパーぶりを見せてやる」

「相手が誰でも構わないわ。ルレイアに仇を為すなら、私が倒す」

この勇ましさよ。

全く、なんて頼りになる仲間達だ。

「じゃあ、早速行くよ。…王宮に」

何もかも、私は覚悟している。

どんなことになろうとも…家族は、絶対に見捨てるつもりはない。
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