黎明の麒麟ー凌暁と雪蘭の伝説ー
全て詳らかになる真実の儀
――天啓の闇が割れ、真実へ導く者たちが動き出す――
薄霧立ちこめる天啓の参道。
聖域に近づくほど空気は張りつめ、
雪蘭の胸を包む呪いの残滓が時折うずいた。
その時、草むらが揺れた。
凌暁が剣に手を伸ばす。
雪蘭は一歩後ろに下がった。
「どうか、待たれよ!」
息を切らしながら、
白衣の神官が2人の前へ飛び出してきた。
ただの神官ではない。
神殿で高位を務める“祈務官”の紋が
胸に縫い込まれている。
続いて、三名の神官が現れ、ひざまずいた。
「霜華国主・凌暁殿。そして雪蘭殿……どうか我らの話をお聞きください。」
しめやかで静かな声。
しかしその瞳には、深い決意が宿っていた。
凌暁は警戒を解かないまま問いかける。
「お前たちは蓮音の仲間ではないのか?」
神官たちは苦渋に満ちた表情で首を振った。
「……あの方は、もはや道を誤りました。」
「誤った……?」
雪蘭の小さな呟きに、
神官のひとりが静かに続けた。
「蓮音様はかつて真に清らかな巫女であられました。しかし長い年月、腐敗した神殿に身を置かれたことで……あの方の霊力は衰え、心まで歪んでしまったのです。」
その言葉に雪蘭の胸が痛む。
神官は声を絞り出した。
「蓮音様は……“穢れなき者”が天啓に現れることを恐れておられる。それが、雪蘭殿……あなたなのです。」
雪蘭は息を呑んだ。
凌暁の手が雪蘭の肩をしっかりと支える。
「まさか……雪蘭を殺そうとした理由がそれなのか?」
「はい。」
薄霧立ちこめる天啓の参道。
聖域に近づくほど空気は張りつめ、
雪蘭の胸を包む呪いの残滓が時折うずいた。
その時、草むらが揺れた。
凌暁が剣に手を伸ばす。
雪蘭は一歩後ろに下がった。
「どうか、待たれよ!」
息を切らしながら、
白衣の神官が2人の前へ飛び出してきた。
ただの神官ではない。
神殿で高位を務める“祈務官”の紋が
胸に縫い込まれている。
続いて、三名の神官が現れ、ひざまずいた。
「霜華国主・凌暁殿。そして雪蘭殿……どうか我らの話をお聞きください。」
しめやかで静かな声。
しかしその瞳には、深い決意が宿っていた。
凌暁は警戒を解かないまま問いかける。
「お前たちは蓮音の仲間ではないのか?」
神官たちは苦渋に満ちた表情で首を振った。
「……あの方は、もはや道を誤りました。」
「誤った……?」
雪蘭の小さな呟きに、
神官のひとりが静かに続けた。
「蓮音様はかつて真に清らかな巫女であられました。しかし長い年月、腐敗した神殿に身を置かれたことで……あの方の霊力は衰え、心まで歪んでしまったのです。」
その言葉に雪蘭の胸が痛む。
神官は声を絞り出した。
「蓮音様は……“穢れなき者”が天啓に現れることを恐れておられる。それが、雪蘭殿……あなたなのです。」
雪蘭は息を呑んだ。
凌暁の手が雪蘭の肩をしっかりと支える。
「まさか……雪蘭を殺そうとした理由がそれなのか?」
「はい。」