坂野真夢さんのレビュー一覧
総務部の先輩、中島さんはスイーツ男子。
頼まれたらNOとはいえ言えないお人好し。
向日葵はそんな彼と一緒に忘年会の幹事をすることになって…。
中島さんがいい人で、でもなんだか頼りなくて放っておけないの分かります!
気がついたら目で追ってしまう。どうして? 好きというには呆れた気持ちもあるのに…という葛藤がすごく感じられました。
ヘタレ男子に落ちるときってこんな感じなんだろうなあと、腑に落ちた作品名です。
続きが気になります!
物語はケンカの後から。
相手を想うばかりに恋を手放した過去のあるミュージシャン・祐真が今の同棲相手とケンカをしてしまう。
相手を想えば想うほど、身を引こうと考えてしまう彼の出した結末とは……。
とにかく繊細な男性です。心の細かな機微を読み取ることのできる人なので、きっと彼の歌う歌は心に響くのだろうなぁとも思います。
今回彼が答えを出せたのは、本当に彼女が大切だから、そして、やはり大人になったからなのではないかな、と感じました。
切なく沁みる物語です。
高嶺の梨乃さんは完璧美女。でもそのせいで男性からは敬遠され気味……?
女性からは羨望のまなざしを受け、今更処女ですとも言えず、誰にも相談できずに悩みでいっぱいいっぱいになっています。
そんな時、とあるトラブルで出会った大志さんに、処女を捨てる相手を探してもらうことに。
でも作戦会議と称してあっているうちに、いつの間にか一緒にいる時間が心地よくなって……。
梨乃さんがとにかくかわいい。考えすぎて頭でっかちになっちゃっているところがなんとも面白くて、大好きです。
大志さんもヘタレだけど優しい真綿のような人で、お似合いだなって思いました。
楽しいお話です。ぜひ。
男の子目線のお話。
高校二年の桂太が好きなのは、かつてともに空手をしていた柚葉のことが好き。
でも柚葉は突然空手を止め、軽音部に入りチャラくなった桂太のことに敵意むき出し。
そして彼女は他の男――先生に片思いしている……。
序盤から次々明らかになっていく関係性。
チャラいながらも桂太くんの一途な思いが伝わってきます。
コミカルでテンポよく、するする読めてしまいました。
どちらかというと学生さん向けかなという気はします。
楽しかったです。
互いの両親からのとんでもない提案から四年。
同居した幼馴染みの男女は、今も幼馴染みのままで……。
もうすぐ就職。諦めて離れるにも片思いを続けるにも、今が決断の時。
そんな男女のお話です。
言いたいけど言えないもどかしいふたりが、短編に濃縮されていました。
ヘタレな彼がようやく見せた勇気を、どうぞご確認ください。
突然降ってわいたお見合いに渋々ながら参加した杏奈。
相手の男はちょっと冴えない感じで、でもとても優しい人。
杏奈の頑張り屋なところと素直なところを、包み込んでくれるような包容力のある人です。
もっと強引な人のほうが素敵。そんな風に思えることもあるでしょうが、見守ってもらえることで自分で気づけるなにかもある。
なにもかもうまくいかないのは、過去の後悔を抱えたままだから。
そっと背中を押してくれた彼は、とても優しい頼れる人だなぁと思いました。
ぐいぐい、引っ張って行ってもらえる恋じゃないけど、こんな恋もいいよねって素直に思える物語です。
とある事情で弟の身代わりを務めていたセシル。
女性としての時間が持ちたくて出かけた仮面舞踏会で、ひとりの男性と恋に落ちてしまう。
その後、年齢的に身代わりは無理であると判断され、セシルとして生きることになった主人公に、縁談が舞い込む。相手は仮面舞踏会であった男性……?
双子の兄弟と、家族思いの姉妹のお話です。
描写上手な作者様の文章が、ぐいとヒストリカルの世界へ引き込んでくれます。
仮面舞踏会で出会ったのは兄なのか弟なのかや、姉との婚約など次々と起こる出来事にやきもきしながらも楽しく読ませていただきました。
ありがとうございます。
田舎で母娘力を合わせて生きてきたすみれ。
ある日、母親から再婚話を聞かされ、ちょっと寂しいけれども了承。
ど田舎から東京へと向かったけれども、相手はふたりの子持ちのヤクザですか?
……という出だしから波乱万丈なハートフルコメディです。
作者様特有の軽快な文章で、シビアな状況のはずなのに思わず笑ってしまうシーンが多々あります。
新しい兄弟との葛藤、主人公の恋と友情。
難しい問題がいっぱいあって、ついつい先延ばしにして後悔して。
すみれちゃんが(運動神経が凄いけど)等身大の女の子で、だからこそ共感して読めました。
あなたは必要な人だよと、ひとりじゃないよと、物語を通してじっくり語り掛けてくれます。
楽しく読めてお勧めです。
イメージ重視の政界の若きプリンスが出会ったのは、美人で気の強い看護師。
彼は政治家としてのイメージを上げるため、彼女は復讐のため偽装婚約をすることになる。
一緒にいるうちに気持ちが近づいて、という流れは王道かもしれませんが、説得力のある描写に引き込まれて、あっという間に一緒にときめいたり傷ついたりしてしまいました。
政治についても詳しく書かれているし、脇を固めるサブキャラもみんないい。
なによりこれだけのお話を、軸をぶれさせずに書き続けられるのは凄い。
大満足のお話でした。
おすすめです(^^)
ポテトチップスの味の好みで男の人の判断をする主人公。
言われてみれば確かにーと思うところが多く、まずそこに共感しちゃいます(笑)
さて、今日はそんな彼女が気になる人を含めての家飲みの日。
お菓子もお酒も準備万端!……だったはずなのに彼は追加でお菓子を買ってきた。
しかも、……ポテトチップス?
さあ、彼は何味を好むの……?
主人公と一緒にドキドキできる素敵なお話です。
仕事と俺、どっちが大切なんだ?
これ言われちゃったら、やっちまったって思いますよね。
どっちが、と言われたらどっちもに決まっている。
仕事は生活の基盤だし、恋人は共に生きて心を安らげてくれる人だ。
でも比重のかけ方を間違えて、相手にとって安らぎじゃなくなる時はあるわけで。
後悔しても遅いけれど、後悔しかできることがない。
失敗はするのだ。人間だから。
どん底な時期があっても、それでいいんだ。
必ずいつか変われる。自分を、生活を、一つ一つ大切に扱っていけば。
そんなことを教えてくれる、再生の物語です。
彼女が囲む食卓が、笑顔あふれるものになりますように。
絶対に合わないと思っていたものが意外とハマったりする。
まさしくこれがこの作品のすべて。
年下のオカン男子に、いつも間にやら餌付けされ、
ああもう……いない生活なんて耐えられません。
女子力のなさをけなすでもなく一緒に作ろうって言ってくれるところがまた良かったです。
生活に疲れた女子に、癒しのオカン男子☆ おすすめです。
山間の田舎の町。家業手伝いをする香埜子。
変わらない毎日を送りながら、なんとなく暮らし、なんとなく満たされている。
そんななんとなくな暮らしの中でなんとなく不安が首をもたげる。
彼氏はいる(でも、若い人がいないからなんとなく付き合っているのかもしれない)
仕事もある(でも、家業だからなんとなく着いた仕事ではある)
他の世界を知らない香埜子には比べる対象がないからわからないのです。
自分がどれだけ頑張ってる素敵な女の子なのか。
なんとなく始めたものも積み重ねたならば大きなもの。
それを伝える彼の言葉はとてもドラマティックです。
ほのぼのと二人を見守りたくなる素敵なラブストーリーです。
淡々と語られる日常。
お嫁に行く朝。母と姉と私と猫のタマ。
借金を残して消えた父。
残された母と子は、前向きに、力を合わせて。
多分血のにじむような思いを抱えながら、それでも笑って生きてきた。
親子、というよりはもう同志だ。
そんな家族がお嫁に行く。
寂しくて、でもきっと嬉しいのでしょう。
家族を見守る食卓テーブルを中心に添えた、愛ある家族の物語です。
淡々としているのに泣きそうになりました。
いい人と出会えてよかったねってほっこりします。
突然突き付けられた命の期限。それを案外と冷静に受け止めるのは、姉の死を経験しているからか。
主人公・千夜子は夢敗れてもかなわぬ恋に苦しんでいても、生きることは諦めていない普通の女性。
姉の死を経験しているからこそ、平和な日常の大切さを知っている。
一週間という短い期間。彼女は人生の整理をしていく。
平和な日常を守るために、諦めたものが多分たくさんあって。
それは本人よりも周りのほうが見ていて痛々しいくらいで。
だから彼は死の宣告をくれたのかもしれないですね。
彼女は、周りにいた人が素敵すぎて、がんじがらめになっていたのかもしれない。
あなたが何も言えなかったのは、あなたがみんなを愛していたからですと言ってあげたいです。
切ないけれど生きることをしっかり書いた物語です。
いろんな方に読んでほしい。
男が働く一流ホテルの最上階レストランに、しかもクリスマスイブに、おひとりさまのお客がやってきた。
男はそんな彼女に目を奪われる……
このくらいのSSはどう書いてもネタバレするのであまりレビュー書かないんですが、
これは是非おすすめしたい。
一度目は何も考えずに、
二度目は細かいところもじっくり読んでみてください。
二度目にものすごくキュンキュンできます。
おすすめのクリスマスストーリーです。
若き社長、隼人には、58歳の年配男性秘書との怪しい噂がある。その秘書が事故にあい、臨時秘書として駆り出された美和。
見た目は麗しい社長は実は子供のようなところもあり、人のことを「小娘」と呼ぶ。美和も負けじと暴言を吐き、気づけば喧嘩するほど仲がいい……状態に?
会社とか秘書業務とかをしっかり調べていらっしゃるんだなという印象です。会社内部や取引先にしっかり目を向ける社長と、それを補佐する秘書、という体はしっかりありつつも、ふたりの掛け合いが面白くて。
気が付くと会話を楽しみたくてページをめくってしまいます。
自分の気持ちにさえ鈍感な美和に、自分の気持ちに正直な隼人。たまに姉弟のようであり、やっぱり社長と秘書であったり、人生のパートナーとしてすごくお似合いな二人だと思います。
楽しい物語です。おすすめ。
ちょっとおバカだけど顔は可愛い女の子・美佳ちゃんの願いはシンデレラになること。
顔もよくてお金持ちの王子様に、一杯着飾ってもらっておいしいものも食べさせてもらって、幸せになる。
でも現実の王子様は、鈍くさい理系男子。
おバカなんだから、御曹司に誘われたりしたら、浮気心がウズウズするのです。
でも、おいしい料理も素敵な服も、どこか夢のようで現実感はなく、楽しくもない。
だって心から愛してくれる人を、もう知っているから。
小ネタ満載で最後まで楽しめる物語です。
美佳ちゃんの講習受けてみたいです(笑)
楽しい物語ありがとうございました。
壁にぶつかった陸上部のエース・沙織と車いすの少年・翔平が入れ替わる物語。
割とあっさり入れ替わりを受け入れるなど疑問の残るところもないではないですが、
不自由になったことで精神的な自由を得た沙織、そして自由になったはずなのに心にまだ枷を持っている翔平。
沙織の前向きな気質が、入れ替わったことによって翔平にうまく作用していったのだなと感じました。
そしてふたりをつなぐとある人物の存在が、この物語をうまくまとめ上げてくれたように思います。
ラスト、私としては意外だったんですが、沙織の言葉に、これでいいのかなと思わされました。
今が生きづらいと感じている人、
限界が見えて辛いと思っている人、
そんな方に読んでほしい物語です。
人と関わることが得意ではない宏斗のもとにやってきたのは、ゴミ捨て場で助けられたスズメです……という女の子。
とっとと出てけよ!と言いたいのに、強気にできれないヘタレ男は、その女の子と同居する羽目になるのですが。
この子がまたすごくお料理上手。美味しい料理に、「ご主人様が幸せになるように」と女性を落とすテクまで伝授。社長令嬢との仲を取り持つために奮闘するのですが……
元気なスズメちゃんに振り回されっぱなしの宏斗が、過去と向き合い人を愛する勇気を持つ辺りはとても感動的。
切ない筋書きでもあるのに、ところどころ笑わせてくれるのはこの作者様ならではです。
そのバランスの良さ尊敬してます。
楽しい物語、ありがとうございました!