聖凪砂さんのレビュー一覧
父は子爵。でも、母は妾という立場から、姉弟と差をつけられ育てられていた主人公。本来なら、そこで暗くなるものの、持ち前の明るさでそんな自分の生い立ちも受け入れる。そして、差をつけられていながらも卑屈にならなかったのは、そんな彼女に態度を変えずにかわいがってくれた姉の存在。
主人公に酷い扱いをする母親の娘でありながら、そんな母親とは違い彼女を妹として扱ってくれる彼女の存在は、ストーリー全般にあたって主人公の中にずっとあり、彼女が頑張ることを背を押してくれる。
そして、そんな彼女を深い愛情で包むように想う旦那様。
出会いも運命的で、その運命に乗りかかりながら、それだけではなく二人でゆっくりと育んでいく愛がとても素敵でした。
読み終えた後に、素直に感じた感想は、ドキドキしながらも切なくて、でも何とも言えない温かい気持ちでした。
過去の手痛い恋愛により、恋よりも仕事中心に生きてきた主人公。ただ、一生懸命に、女に見られなくてもすっぴんで頑張る彼女は、苦手としていたイケメンの御曹司とひょんなことから出会うこととなる。
苦手なタイプでありながらも、でも惹かれてしまう感情。そんな複雑だけど、実際には起こりうる内面の機微な感情の変化でさえもとても丁寧に表現されており、とても読みごたえがある作品でした。
仕事面、恋愛面も、軽い感じではなく、深い部分までよく考えて書かれていることがわかります。
とても素敵な作品で、一度読み終えてから、また最初から読み返したくなるような作品でした。
元はお嬢様。現在も、本当はお嬢様。ただ、途中、家の事業が傾き始めたことにより、お嬢様であるルートから一時外れたことにより、庶民感覚を持つ主人公は、ただ相手に任せるのではなく、自分で考え一生懸命に前に向かっていく。
そんな彼女に一途に想いを寄せていた昔からの顔なじみの彼。一時疎遠となった彼が目の前に現れたことにより、彼女の人生は変わり始める。
主人公が、過去の経験により、警戒心全開で、でも家族を大切に思いながら、毎日を一生懸命に生きていっている。そして、そんな彼女のことをただ閉じ込めるのではなく、応援しながら温かく手を差し伸べる彼。
一癖も二癖もある人物たちが登場してくる中で、ただ正直にまっすぐに突き進む主人公の姿が、とても際立っていました。
容姿と中身が伴わない主人公。彼女は、綺麗な見た目を生かすことができず、現在は崖っぷちモデル。食べる物さえも節約中という本当の崖っぷち。そんな中に、現れた依頼主。自分に回ってくることはなさそうな仕事を、いつもならしない行動力で自分を売り込む。そこで出した彼の条件は―――…
まったく知らないモデル業界という世界の中での、純粋でまっすぐな主人公。もちろん、勝ち負けの厳しい世界という外側から見ただけのことは知っていたので、その殺伐とした光景も見え隠れし、途中はどうなっていくのかとハラハラしました。
強引な彼のペースに巻き込まれながら、恋に仕事に頑張る主人公の健気さがすごくピュアな気持ちにさせてくれました。
望まない合コンに強引に駆り出された主人公。そんな彼女はもちろん合コンでも消極的。早く帰れることばかり考えていたのだけど、そこで助けてくれた男性。
名前も聞かずにいたところ、もう会うこともないと思っていたのだけど―――…
恋に初心者の主人公に対し、強引な行動をとり続ける副社長。そして、恋には消極的でも仕事に対しては真摯な姿勢と普通の感覚を持っている主人公。彼の強引な行動に正論をぶつけていく姿は、ただ大人しいだけではない彼女の真面目さが見え、また、強引に進められることに読んでいるこちらが違和感を持つことを切り込んでいくので矛盾を感じません。
強引に包囲網をしきながらも、強引な中に彼女の気持ちを待つ優しさ。
ただの強引だけではない副社長の優しさと深さが読んでいてすごくよかったです。
どちらかというと、社長令嬢という肩書を持っていれば、それを優位に持ち、振りかざす人間が多い中、この主人公は逆に社長令嬢という肩書がコンプレックス。
優秀な兄と、大企業の社長という父を持つ主人公は、その二人に比べると幾分普通寄り。なので、大きすぎる肩書が彼女のコンプレックスになっている。そして、そんな彼女に厳しい言葉を放つ人間。
反発しながらも、それでも時には優しく親身になってくれる彼に、彼女はだんだんと惹かれていく。
社長令嬢という肩書に悩む主人公。そして、そんな彼女の肩書に寄せられてくる人物。悩みながらも、前に一生懸命に向かっていく主人公の姿がとてもよかったです。
スピンオフのようなので、この作品の違う作品を読んでみたいと思いました。
流され気質の主人公は、家でも会社でも嵐が来ればおさまるのを待つばかりと自分を抑え続けていた。
そんな彼女は、ある出来事により、苦手な上司である課長と結婚することになり―――
さりげなく書かれていること。だけど、読んでいるうちにふと自分はどうかと問われている気分になる。清廉潔白で強い主人公ではないけど、弱さを持ち、身近にいそうな人物である主人公。だからこそ、彼女が流される中で少しずつ変わっていく姿に共感が持てました。
突然の別れと、突然の辞令。
新天地での不安とともに現れたのは、とても綺麗なご近所さんと上司。
初対面は綺麗だけど意地悪な人。だけど、ところどころ助けてくれたりと、そのつかみどころのない彼の様子に戸惑う主人公。
決して惹かれまいと思いながらも、惹かれてしまう主人公と、何かと気にかけからんでくる上司。
大人なのに、恋に奥手の二人のやり取りが、とても初々しかったです。
きちんと自分を見てくれない彼氏たち。
それは、自分を結婚相手には向いていないものと決めつけられる。最低な別れの言葉を告げられ、ふられたその場を見られてしまった主人公。
お互いに外見のみでしか判断してこられなかった二人は、近づくことによりどんどんとお互いの内面を知っていく。
ゆっくりと、誤解をしながらも、本当の自分を見せつつ惹かれあっていく二人の姿がとても読んでいて心地よかったです。
過去の手痛い失敗により、恋に冷めた感覚を持つ主人公。そして、そんな彼女の恋に終止符を打つように現れた相手。
過去の恋の因縁の相手でありながら、再会した後、なぜか接点を持とうとしてこられる主人公。
そして、彼は変わった性格であるために、どんなに言ったところで全くめげない。
主人公もちょっと変わった人物だが、相手の登場人物が強烈で、そして、その昔の婚約者もまたいろいろと濃い。
一見、すごく複雑なお話になりそうなのに、登場人物の個性が強すぎて、なぜか読みながら笑ってしまう。
とても、面白い作品でした。
自分はこのままでいいのか。生まれた時からの婚約者との結婚が見え始めた時、ふと浮かんだ疑問。
相手にはそれなりの恋愛経験がありながら、自分は婚約者がいる身だからと恋もせずにいたその先を考えた時、彼女は一つの決断をする。
そして、いずれはどんなことがあろうとも彼女は自分の妻になると思っていた彼は、そんな彼女の突然の申し入れに焦りだす。
何もせずにいれば、結婚していたはず。だけど、その結婚には意味がないと気づき、自分の幸せを求めだした主人公。そして、そんな彼女の決断に、今更ながら焦りだす彼との奮闘記。
幸せな結婚のために、ゆっくりと絆を深めていく二人の姿に感動しました。
個人的には、彼にはもう少し自分の過去の行いを後悔する場面とかあればよかったな~と。
恋人がおり、結婚の話まで出ていながら、それでも思い続ける彼の一途さ。
それとは違い、もう恋はいいとまで思わせるほどに傷つけた主人公の元カレ。
一途と浮気性の対比がこれでもかというほど書かれており、また、御曹司でありながら仕事に対して真摯に取り組み、前進していく姿はとても好感が持てました。
会社での仕事内容も専門的な用語も使われており、すごく読み応えのある作品でした。
閉鎖された島。そこで聖女と崇められ生きていた主人公。
ある日、突然聖女となり、自由を奪われた彼女は、閉鎖的な島の風習と大神官による洗脳的なやり方に疑問を持っていた。そんなある日、突然やってきた一人の男を助けたことで、諦めかけていた自由について考えることとなり――…
強引な皇帝と、純粋で閉じ込められていたこともあり少し世間知らずな主人公の恋。
すれ違いながらも、惹かれあい、自分で前に進もうとしていく姿がとてもよかったです。
貧乏国の姫であるため、他国の姫とは違う感覚を持つ主人公。大国から王太子の結婚相手を探す招待状を受けながらも、そこに本質をおかず、彼女の狙いは自国の産業の売り込み。国のため、国民のためと自分の結婚話を二の次に活動する彼女。そして、両親の強引な企みにより、結婚相手を選ばなくてはいけない状況に追い込まれた王太子。
結婚相手という思惑がかち合わない二人の、契約上の付き合い。
それが、なぜか近づいたことにより互いにそれぞれのよいところを見つけ、よりよい刺激を受けていくこととなる。
恋に発展してはいけない人。だけど、惹かれていく二人。ただの恋だけではなく、それぞれの国を想い、互いに刺激をもたらせる二人の関係性がとても魅力的でした。
主人公の両親が主人公である前の作品も読みました。今回は、その二人の娘が主人公のお話。
腹黒さを兼ね備えた父親と、少しのずる賢さを持ちながらも、実は心優しい母親。いろいろなしがらみや陰謀を超えて結ばれた二人ですが、根深い因縁の結末ははっきりとせずじまいでした。そこがモヤモヤしていたのですが、今回、この作品を読んでその因縁にも一つの区切りが。
また、父親譲りの腹黒さを持ちながらも、実は純粋な主人公は、自分の腹黒さに悩みながらも、王太子の優しさに惹かれていきます。悪だくみとその後の反省と、そこに本当の悪い人にはなれない主人公の真の性格などが表れていて、本来なら受け付けにくいキャラなのに、なぜか好感を持ってしまいます。ただの恋愛だけではなく、深い隠された謎などもあり、すごく読み応えのある作品でした。
王女でありながら、前世の記憶を持つことで一風変わった王女である主人公。前世で食堂を営んでいたことから、その記憶をもとに様々なこの世界では存在しない料理を作っていく。
テーマはまさに料理。その料理を通して、紡がれていく温かい人々とのストーリーの数々は、読んでいてとても温かい気持ちになります。また、料理を通してのストーリーが主なため、本来の王との恋愛事情が少し少なかったのが残念です。終わった後も、まだまだ二人のこれからと、その後の料理を絡めたストーリーを読んでいきたいと思えるほどに素晴らしい作品でした。
話の最初から最後まで、終始ロマンチックなお話でした。
『ガラスの靴』がストーリーの鍵に位置づけられていることもあるのか、話の中でも何度もシンデレラとの対比が書かれているシーンもあります。
また、どちらかというと境遇のこともあり、後ろ向きな主人公に対し、温和な態度を見せながらも、強引さを見せつける彼。
最後の最後までドキドキとロマンチックさのうっとりの連続でした。
恋をすると、人は『きれいになる』『強くなる』など、いろいろと言われている。それは、恋をすることになって、人は何かしらの力をもらえているのではないかというのがずっと言われているからかもしれない。そんな恋をすることで、起こる数々の素晴らしい出来事。
このお話を読んでいると、恋をして切ない気持ちにもなるけど、恋をすることでいろいろな奇跡をもたらせてくれるということを改めて考えさせられました。でも、その奇跡は、恋をすることで後押しをされたことで動き出す勇気により動き出したこととも思えました。
同期で友達でもある御曹司。よかなる噂のある彼とは、恋愛を絡まない友情だと思っていた主人公だったのだけど―――…
最初から最後まで、何かしら御曹司の腹黒さと策が見え隠れしていて、それに翻弄されている主人公の姿が読んでいてとても面白かったです。読みながら、彼のこの先何を考えて、どんな策を練っているのだろうと考えながら読んでいました。
昔からの幼なじみ。長い付き合いの中、お互いのことを知っていたと思っていたけど、あることにより、近づいたことにより見えていなかったことを知ることとなる。
幼馴染という環境を変えようとしながらも、違う面を知ることでショックを受けることと、変えてはいけないと思う気持ち。
近くにいて幼馴染なのに、地位の隔たりにより微かに見え隠れする壁。二人の不器用な気持ちのちぐはぐ感がとてももどかしかったです。