聖凪砂さんのレビュー一覧
政略結婚のはず。なのに、そっけない態度かと思えば、なぜか甘い展開。
同居をすることで、全く知らない人物のはずが、知れば知るほど気持ちが動いていく。政略結婚ということを忘れてはいないけど、それが気持ちの変化とともに重しになっていき―――・・・
ウエディングという仕事についていることで、一生懸命に進んでいく様と、そんな仕事についていながら、自分は政略結婚で幸せな人たちを見ることで自分の結婚に疑問を感じる。甘いはずが、切なくも感じ、でも、男性視点も話の中に組み込まれており、それが二人のもどかしさを加速させます。
甘さと切なさと、そして、運命的で情熱的な二人の姿にドキドキしました。
出会いは仮面舞踏会。
仮面に隠されたお互いの顔を知らない状態で知り合った二人。名前も知らない二人は、偶然の出会いにより再会する。そこから、目まぐるしく二人の状況は変化していき―――…
もしかしたらと思った人が、実は違う人だった。でも、心はなぜか惹かれていき―――…
惹かれていきながらも、どうしても覆せない二人の状況。それが、すごくもどかしかったです。
最後の最後まで、二人がどのようになっていくのか目が離せませんでした。
すごくドラマチックなお話でした。
ブログを通してのコンタクト。顔はもちろん名前も知らない。知っているのはブログに載せてある写真と、ささやかなやり取りだけ。なのに、なぜか惹かれてしまう。
そんな中、この人かな?という方が何人か目の前に現れて、こっちの人が相手だといいな…と読みながら思ったり、すごくドキドキさせられました。
ブログでのやり取りはあるから、知っているように感じながらも、実は何も知らない事実や誤解。様々なすれ違いの中に、それでも引き寄せられる想い。
すごく惹きこまれる作品でした。
相手に尽くしてしまうがために、相手を自堕落させてしまう主人公。そんな彼女は、完璧すぎるがゆえに、何度も相手を自堕落させてしまう自分に嫌気がさしていた。
対等な付き合いを始めたはずなのに、対等ではなくなってしまう。そんなこれまでの恋愛に、いつの間にか臆病になってしまっていた。
そんな彼女に、すでに懐柔されてしまっている本部長。そんな彼から熱烈な想いをぶつけられながらも、すでに懐柔気味な彼に、彼女は拒絶し―――…
惹かれていきながらも、過去の経験から前向きになれない主人公。そして、一途に彼女を想い、彼女に手を差し伸べる彼。二人の不器用でもどかしい想いが短い中で綺麗に描かれており、すごくドキドキさせられました。
ただの恋愛小説ではない。
恋愛がベースにありながらも、現実に起こりうる問題をテーマに取り入れてあるこの作品は読んでいてすごく考えさせられる作品でした。
自分が抱えている問題、不安、苦悩。その中で、自分には恋をしている場合ではないとわかっていながらも、苦しい現状に見える微かな光に救いを見出してしまう気持ち。
自分を押し殺して選んだ選択がよかったのか苦悩するなど、過去と今が交互に描かれており、それがすごくリアル感を出し、切なさを加速させていきます。
あれだけ苦しんだのだから、この先の二人が幸せであることを願いたいと思うのと同時に、そんな二人の幸せなシーンが読めたらいいなと思いました。
恋をしたのは遥か昔。枯れてしまっている今の自分の現状に諦め気味な主人公。そんな彼女の前に突然現れた男性は彼女の心の中に強引に入り込んでくる。
恋から離れすぎていたために、自分の感情にも疎く、周りの好意にも鈍感。だけど、彼からのアプローチはそんな彼女の鈍感さも打ち砕く。
彼の逃れられない過去の過ちが作品全体に重くのしかかり、上手く進まないところが、読んでいてもどかしかったのと、 最後があっさりとした終わり方だったのが、 すこし残念でした。
自分が王族であることは知っている。でも、自分がなぜこの場所にいるのかは知らない。それ以外も、何も知らない主人公の前に、他国の皇帝が現れる。
一人何も教えてもらうこともできず、無知な彼女を前に、自分の妃となると言いながらもなぜか冷たい態度の彼。
無知だからこその純真な彼女のふるまいと、理知的で軍神とまで言われる手腕を持ちながらもそんな彼女に振り回される皇帝。
二人の初々しいやり取りとともに、祖国の陰謀が見え隠れし、すごく読み応え満タンでした。
王太子の妃となる。それは、一族の末端の家に生まれた自分には関係のないことだと思っていた。だからこそ、王太子にひそかに想いを持ちながらも、自分にできることを精一杯にしながら生きていた主人公。だけど、そんな自分に王太子の妃の話が舞い込んでくる。自分以上に地位もふるまいも相応しい彼女との違いに悩む彼女。逃げ出したいと何度も思うたびに、なぜか王太子は彼女に愛を囁く。
政略結婚のはずなのに、彼に愛情を向けられるたびに、戸惑う主人公。何度も悩みながらも時に前向きに後ろ向きになる彼女がとても人間らしく感じました。
夢に向かって一直線に突き進む主人公。契約社員という不安定な位置にいるため、給料も少なく、食事も節約する日々。それでも前向きに突き進む彼女。そんな彼女に、手を差し伸べてくれる副社長。さりげない優しさと、時には強引な助けに彼女も救われる。
給料が低いというリアリティのある話の中で、なんとか正式な社員となれるように奮闘する姿。恋はもちろんですが、仕事に対する一生懸命さに応援したくなります。
3年前―――
どうすることもできない二人は、別れを選んだ。
そして、3年後―――…
別れて終わったはずの二人の恋はこの3年という月日を経たことにより、新たな形として動き出す。
3年前と同じような苦しみを味わいたくないからと頑なに拒否をする彼女と、絶対に捕まえると決めている彼の攻防。社内での仕事を織り交ぜながらの、二人のやり取りと彼のそれさえも巻き込んだ強引さ。
3年前とは違う成長を見せる部分と変わらない部分。戸惑う彼女と、かすかに見せる彼の余裕のなさがすごくドキドキさせられました。
何度でも読み返したくなる作品です。
理系女子の主人公は、物事に理論を求める傾向にある。そのため、いざ恋愛と思い、お見合いをするものの、どうも話もかみ合わず、相手には引かれていることも自分でも自覚していた。
自分には恋愛は無理かと諦めていた主人公だが、ある時、偶然にも社長と会うことがあり―――…
とにかく何を考えても複雑に理路整然と難しく考えてしまう主人公は、本能で動くことができず、一つ一つのことに理由をつけたがる。だからこそ、後ろ向きな彼女に、物腰は柔らかそうに見えても、実は強引な社長はちょうどいい感じでした。
理系女子だからと、やたらと理系にもとずくものを入れているのではなく、さりげなく文章の中に入り込んでいるのもこのストーリーにスパイスを与えているように思えて、最後まですごく楽しく読めました。
初恋が無残に散ったその日から、現実の恋を封印し、二次元の世界の恋にシフトチェンジしてしまった主人公。そんな彼女は、28歳になった今も、二次元にどっぷりとはまったまま。そんな中に、突然現れたリアルな住人であり、元婚約者だった彼。
自分に現実の恋を諦めさせたはずの男なのに、なぜかやたらと彼女を構う彼に、彼女はなんとか逃げ切ろうと奮闘する。周囲も巻き込んでの逃げと捕獲の接戦にとても楽しく読めました。
周囲は彼の気持ちがわかっているのに、なぜか彼女だけがわからない。二人の恋の攻防に目が離せませんでした。
両親を亡くし、祖父に引き取られ育てられた主人公は、偉大な祖父を持つことと元々の引っ込み時間な性格から、幼いころいじめを受ける。そのことが原因で、人と関わることが苦手となり、普通に話せる人もごくわずか。そんな中でいつも優しく目をかけてくれる幼馴染の彼に、淡い想いを抱いていた。
彼が自分に見せる優しさに特別な想いがないことを知っていながらも、祖父の持ち出した「結婚」という約束。そこから彼にどんどんと近づいていくことに。時に厳しく、時に優しく。
それでも、自分の気持ちと彼の想いの違いに傷つきながらも、悩みながらも前向きに自分に強くあろうとする主人公にとても好感が持てました。
社内では、みんなに鬼上司と言われて嫌われている彼。そんな彼のいつもとは違う姿を見てしまった主人公は、そのギャップに戸惑いながらも気になってしまう。それと同時に、彼との距離も少しずつ近づいていき―――…
会社で見せる顔と、外で見せる顔。そこには彼の考えもあり、そんな彼の素を知ってしまって惹かれていく。また、そっけなく見せながらも、実は彼女のことをよく見ている彼は、彼女の周りにいる人のずるがしこいこともわかっていて、さりげなく彼女に声をかけたりと、読んでいてキュンとするポイントがたくさんありました。
読めば読むほど甘い作品にすごくドキドキしました。
ずっと片想いしていた相手。名前もわからず、会えるのは時たま乗り合わせた電車の中。それも、ただこっそりと彼を見つめているだけ――― そんな中、偶然、彼に近づくこととなった主人公。
それからは、ただ自分の秘められた想いとともに、近づいたことで知ってしまった彼のこと。知れば知るほど、彼という存在に傷ついていく。それなのに―――…
彼の冷たい態度と言葉に傷つき、その想いを消そうとしながらも消せない。そして、そんな彼女になぜか逆に近づいてくる彼。
冷たい態度と女癖の悪さ。それなのに、彼女に対して優しさと想いをぶつけてきて、されている主人公からは彼の真意が見えにくく、戸惑う気持ちが読んでいてもよくわかりました。結局、最後までつかみどころのない彼。だからこそ、彼サイドのお話が読みたいと思いました。
人生で起こった最悪な出来事。人によっては、一生立ち直ることができないほどに深い傷を負う出来事にあってしまった主人公は、それでも前向きに立ち直り、一生懸命に生きがいを見つけ、前を向いて突き進む。そんな彼女に、偶然とはいえ、自社の御曹司となぜか恋人となることとなる。
仕事を通して、二人の良いところ、そして、お客様に向けて真摯に向き合う姿勢。そこがとても読んでいてよかったです。大人なラブストーリーだな…と。
友達。でも、異性間の友情関係は、本当に友達のままでいれるのか――。
それなりにいい年になってしまった主人公は、結婚に興味もなければ自分が結婚に向いていないこともわかっている。だから、独身を突き進みたい気はするものの、周りはそれを許してくれない。そこで仕方なく結婚に向けて動いてみるものの――
同じように結婚することに諦めていたかつての友達と再会したことで、はじめはお互いが周りの結婚攻撃から逃れるためだった。でも、近づきすぎた二人は、それぞれ知らなかった互いのことを知ることとなる。それは、ただの友達とは違う想いや感情も持つこととなり―――…
友達関係でいたい。でも、触れ合うにはその感情では無理。でも、恋愛になれば知りたくもない感情も持たなくてはならなくて。その葛藤に悩みもがく二人の心情が描かれていて、最後のその先が読みたくなりました。
我儘で何もできない主人公。読んでいけば、どちらかというと一般的なお話では、主人公というよりもライバル役として登場してきそうな彼女は、読み始めた時はちょっと彼女のことを大丈夫か?と心配してしまいました。ですが、読み進めていくにつれて、我儘なのだけど、実は一本筋が通っていたり、周りを見て反省したりと、成長していく姿がよかったです。
ただ、戦いで無敗の戦績を上げて喜んでいるだけではない。
戦闘をする上で、その中で起こる犠牲に敵味方関係なく、きちんとわかり、でも、戦わなくてはいけないということから、苦悩しつつも突き進んでいく元帥。
そして、軍人の家に生まれながらも、女児にしか恵まれなかったために男として育てられた主人公。
男装をする女の子の話はたくさんあるのですが、ただそのことを中心に置くのではなく、きちんと戦争がある裏での犠牲と苦悩。そして、自分勝手な思惑の人物たち。
いろいろと奥の深い作品で、読めば読むほどストーリーにひきこまれていきました。
家族を失い、その原因である敵に刃を向ける主人公。それは、自分の命を顧みることのない考えだった。もう自分には誰もいない。だからこそ―――
そんな捨て身な彼女に命を狙われた彼は、予想外に彼女を助けることになる。そして、その条件は――…
敵。だけど、時折見せる優しさに戸惑う主人公。かたき討ちというしがらみの中で、お互いに気を許せない状況でありながらも、惹かれていく想い。そして、そんな中、その裏にあるかすかな暗い影。
大正という時の中で、繰り広げられる、鮮やかな部分と暗い部分が混ざりこんだ素敵な作品でした。