聖凪砂さんのレビュー一覧
長い間、ずっと想い続けていた純粋な気持ち。
それは、多感な思春期にも変わらずに続いた想い。だからこそ、純粋な二人の気持ちに水を差す人たちがとても汚く見えました。ただ、自分の思い通りに事を進めようとするためには、その想いを成就させるために頑張っているそれさえも、勝手に破るのかと。人の気持ちを自分の欲望のためだけに動かそうとしているそれが、二人とはかけ離れたように見えました。
ただ、純粋に忘れようとしても忘れられない二人の想い。その気持ちが、とても綺麗でそれでいて、だからこそ、そんな二人の気持ちを踏みにじる人たちが読んでいて、とても腹が立ちました。
お見合いから始まり、少し強引な感じで結婚することとなった主人公。相手は、文句のつけようもないほどの相手。優しく彼女をいたわってくれる彼だけど、ところどころで冷めた言動をする彼に、彼女は言いようのない不安を感じていた。だけど、そこには彼の秘密が隠されていて―――…
最後まで読み切った時に、素敵な言葉が多い作品だな…と思いました。
それぞれの人が紡ぐ言葉が、とても温かくて、そして、ふと考えさせれる。とても素敵な作品だと思いました。
自由ではない、織の中に閉じ込められた状態でずっといるように感じていた主人公は、ある日、ずっと押し付けられるようにしていたいい子をやめる。そのために、一人逆ナンをしていたのだけど、そこでひっかけた一人の男性と一晩を過ごす。だけど、その相手は―――…
一晩のことが、一晩だけでは終わらず、自分の心の解放から、いろいろなことが見え始めていき――…
押し込められた環境からか、感情表現の乏しい主人公。そんな主人公とは対称的に、豊かな感情表現を持つ彼。だけど、そんな彼の豊かな表情にも、隠された裏があったりと、表とその裏側が書かれている、少しミステリアスな感覚も味わえる作品でした。
読み終わった最後、とても深い想いに温かい気持ちになりました。
突然のプロポーズは、戸惑いの連続だった。過去の恋愛経験から、恋愛を捨て仕事に生きることを選んだ主人公。そんな彼女に親は突然ある男性を送り込む。
苦い過去の経験から、前に進むことができなかった主人公。そんな彼女のトラウマとなった事柄をさりげなくフォローしながら、彼女の気持ちを支えてくれる彼。
広く深い想いを告げながらも、その裏にあるものを考えると素直になれない主人公。
その裏の裏にある隠された想いがわかった時、とても幸せな気持ちになりました。
好きだからこそ、もう近くにはいられない。ある覚悟を決めた主人公。そんな彼女は信じられない事態にも見舞われ、なぜかそれが彼と近づくこととなる。
主人公だけはなく、相手の男性目線も入っており、二人のすれ違う感情が読んでいてドキドキしました。もっと切ない感じなのかと思っていたのですが、相手の気持ちもわかっていたので安心して読むことができました。
最後の最後まで、ひと波乱ある展開の連続でしたが、とても楽しく読むことができました。
国を滅ぼされ、そのことにより囚われの身となった主人公。そのまま処刑の道を突き進むと思っていた彼女は敵国の王により、予想外のことを突きつけられる。
無知であるために、何も知らなかった主人公が、いろいろなことを知っていくことで真実と自分の罪、そして、その先にどうすればいいのかと成長していくストーリー。
ストーリーの流れの一本の筋の中に、たくさんのことが含められており、すごく読みごたえがありました。
特に主人公の成長が目まぐるしく、悩みながらもそれでも自分で考え、前を向き、成長していく姿がとてもよかったです。
敗戦国の姫となった主人公。それも、悪名高い父を持つ国の主人公は、敵国の牢でただ自分の命がなくなる日を待っていた。
最初から、自分の命の価値を低く見ており、客観的な考えを持つ主人公。自分の命など、いつ捨ててもいいという考えの中、生きている彼女は、その反対のことが自分に起こり戸惑う。
自分の価値を低く見ているからこそ、優しさを与えられる深い人物。でも、それは愛する者から見れば、すぐにでも自分の命を捨ててしまうのではないかという儚さもあり、心配が絶えないし、やりきれない。
複雑な心境の中、数々の問題も持ち上がり、中身が深いからこそ、少しページ数が少ないこともあり、さらっと流れていってしまったのが残念でした。もっと掘り下げて書いてほしい部分もあり、そこが物足りなかったです。
第一回目から、印象最悪な二人。
お互い知っている者同士でありながらも、だからこそ、「絶対にありえない!」という中からのスタート。ご破算だと思っていた、お見合いは、なぜかその後も続けられるが―――…
主人公の突っ込み具合と、彼の通常なら考えられないぶっとんだ行動。二人のそんな掛け合いが、読んでいてすごく面白い。
ぶっとんでいながらも、でも、だからおかしいということもなく、終始楽しんで読めました。
すごく心を揺さぶられる不器用な人だと思いました。一見、クール。ちょっとのことでは動じない。そんな雰囲気を醸し出しているのに、実際は主人公の些細な一言に傷ついたり、積極的かと思えば、戸惑ったりと、そのギャップがとてもかわいくて、すごく課長のキャラに惹かれました。
最後まで一気に、楽しく読み終え、すごく満足です。
お互いがお互いを思っていながらも、不器用な二人。
読む中で、二人の気持ちがすれ違いながらも重なる場面が何度もあり、そのたびにそんなふたりの不器用な関係が切ないのに、とてもきれいで素敵でした。
反発する気持ちとは別に、とても惹かれ合う気持ち。それは、自分という人間を偽っていながら、実はその奥に秘められた人間の本質は二人ともとても純粋で綺麗だったのではないかと感じました。
だからこそ、一見人当たりがよくて綺麗で明るくて、それでいて何気ない言葉を投げつける二人の周囲の人間たちが、外見的には綺麗なはずなのに、汚く感じました。無神経な態度と言葉は、人を傷つける。そのことを大人になっても気づけない。でも、こういう人って意外とたくさんいるのではないと思いました。
本当は誰よりも優しい。だけど、人事部長という肩書の中、冷酷なイメージだけではなく、非常な判断をし続ける部長。でも、そんな部長が本当は優しいことを、新人研修の中知っている主人公は、周囲からは冷酷と言われていても、それを信じることができず、また気持ちを抑えることができない。
会社の規定に伴い、どうしても恋をしてはいけないことも成就することもないことを知っていながら、それでも抑えられない想い。近づけば近づくほど、その想いは膨れ上がっていき―――…
読めば読むほど、すごく切なかったです。
相手が、社内規則に目を光らせる人事部の部長ということもありますが、規則など気にせず自分の気持ちを!という身勝手な考えの持ち主ではなく、守らなくてはいけないけど――…というまじめな子で、だからこその切ない想いが、いじらしかったです。
幼馴染、会社の同期。
近いはずなのに、近すぎるからこそ前に進めない関係。そして、それは彼が自分とは違い、目を引く容姿だとなおさら。
自分とは違い、望みも薄い。それでもあきらめることができなかった主人公。そんな彼女は、会社の先輩に促される形で彼にあるお願いをする。それが引き金となり、なぜか近づけなかったはずの関係が変わり始め…
ゆっくりと進むストーリーに、ドキドキの連続でした。
不器用な主人公と、読んでいるこちらからは明らかに彼女に好意を持っている彼。そんな二人の、ちぐはぐな長いすれ違っていた気持ちと、頓珍漢な勘違い。ピュアなラブストーリーにほっこりとさせられました。
依頼人と請負人。一社員と経営側の取締り役。
二つの枷の中、始まりからしてそこにあるのは仕事という壁。
そこから始まる二人の関係は、少しちぐはぐでした。彼からは、愛情のようなものを感じるものの、でもそこにあるのは、偽りざる関係。彼も彼女のことを…?と思ったところで、少し突き放すような言い方をするのも、実はこうかも…と思いながらも、でも…と最後まで彼の気持ちがわかりませんでした。
不器用だけど、でも、少しずつ惹かれていく二人にドキドキさせられました。そして、すごくもどかしかったです。
はじまりから最後まで、ここまではらはらドキドキさせられる作品はないかもしれません。それも、純愛なラブストーリーにおいて。
コメディ的な要素もあれば、ピュアで初々しい想い。そして、ダメだとわかっていても、どうしても止められない想い。人の打算的な汚い考え。
とても読み応えのある作品でした。また、一人の人物がはじめの好印象なところから、落ちるところまで落ちる悪印象を持つキャラクターも初めてでした。
初めから悪いキャラはいくらでもいても、好印象からのあそこまでの下がり具合は驚きでした。だからこそ、読みながらもどうなるのかと最後まで読めませんでした。
この作品を読んで感じたこと。それは、人の優しさにはいろいろとあるのだということ。
二人の男性を通して感じたのは、誰でも優しい万人受けのいい人と苦手意識を持たれながらも、実は本当は優しい人。
たぶん、第一印象は万人受けの優しさを持つ彼だとは思いますが、私は読んでいて実はそれは独りよがりであり、本当は誰にも嫌われたくないがための自分本位の優しさのように見えました。だからこそ、誰にも嫌われないようにしながら、実は傷つけている。でも、そのことに気づかない。それは本当の優しさだったのかな?と。そして、冷たい印象を持たれながらも、知れば本当は優しい彼は懐が広く、また、自分の気持ちをぶつけながらも主人公の気持ちにも寄り添い手を伸ばす。
二人の男性を通して、本当の優しさとは何なのかということを考えさせられる作品でした。
大切な人のために融資をしてもらうために、自分を担保にした主人公。それは、一度限りの関係のつもりだった。だけど、それは思わぬ方向へと進んでいき……
特にライバルなどが出てくることもないのだけど、すでに亡き大切な人の存在が、大きく二人の間に立ちはだかる。気持ちを認めてしまえば、裏切るような気持ちになる気がして、大切な存在だったからこそ、その自分の気持ちの変化に戸惑う主人公。そして何かを隠している夫は夫で、自分の気持ちに忠実なようで、どこか一線を引いているそんな二人の姿に、お互いに惹かれ合い距離が縮まりそうで縮まらないそんなもどかしさが、とても切なかったです。
父親が亡くなり、倒産間近となってしまった会社を守るために、苦手な営業をかけまくる主人公。崖っぷちでいつどうなるかわからない不安の中で、それでも前向きに一生懸命に立ち向かう彼女。そんな彼女のまっすぐな姿に、いつの間にか気になりだした社長。
さりげない優しさを向けてくれる彼に感謝しながら、その優しさに応えるためにもと人一倍頑張る主人公。恋に発展するかと思いながらも、それよりも会社のことを考え一心に向き合う彼女の姿勢にとても好感が持てました。社長が彼女に惹かれる気持ちが、とてもわかる気がします。
常に前向きに進んでいこうと頑張る二人がとても素敵な作品でした。
国のための特別な存在「聖乙女」。聞こえはいいけど、実際は、自由を奪われた囚われの存在。
それは、人それぞれの考えでもあるのかもしれないが、大切な人がいるアンバーにとっては、それはとてもつらい状況。そして、それは相手である彼にも。
お互いがお互いを想い合っているのに、それをあきらめなくてはいけない想い。好きの気持ちと使命のお互いが板挟みになった状態での想いは、とても切なかったです。そして、そんな二人の想いを逆手にとって、近づく王太子。
ただ、想い合うだけではなく、お互いがお互いを守るために成長していく、そんな二人が健気でした。
前作は、結婚するまでの過程。そして今回は、結婚した後の二人の物語。
公爵の妻としての自分を持ち、まっすぐに突き進む主人公。視察先の令嬢の振る舞いに、自分自身の価値を見失いそうになりながらも、それでも持ち前の明るさでそれを乗り切ります。
前半は、悩む主人公に、後半は吹っ切れた主人公から、読んでいてすっきりしました。今回は、夫である公爵様も、なんだか頼りないし、視察先の令嬢に言われるまま鵜呑みにしたりと、読んでいてイライラ。だからこそ、後半の主人公の切り返しがすごくよかったです。もっと、言ってもよかったぐらいです。すごくすっきりしたし、面白かったです。
まさしく、主人公が一直線に溺愛されるストーリーでした。
相手が片想いで、主人公に想いをぶつけてくるというのは、すごく珍しく、読んでいて大人なのに、まるで少女のような初々しい感じで進んでいき、ドキドキさせられました。
恋愛は少女のような初々しい感じだけど、人間関係はがっつり大人。そこがギャップがあって、面白かったです。
純粋な恋愛をはぐくんでいく二人に、それとは別に複雑な人間関係。
まだまだ、始まったばかりの二人なだけに、この続きがぜひ読みたいです。