ほんの少しのすれ違い。
そのことがなければ、遠回りもせずに、早くから両想いになっていたはずの二人。だけど、そう簡単にはいかずに、二人はすれ違い続ける。
長い年月のすれ違いは、お互いに近づくこともできずにいた。

二人だけではきっと今もすれ違い続けていたはず。でも、第三者が入ったことで、すれ違い続けていた二人の間が近づいていき、とても読んでいて切なくもあり、悲しくもあり。
あのすれ違いがなければな…と思わずにはいられませんでした。

人を罠にかけ、貶める。
これだけを読むと、すごく最低の人間というように思える。だけど、その中にある一つの決意。それが、読んでいてそんな二人を悪く思うことができない。
お互いの利益のために、契約を結び、そのために動いていく。そんな二人が、はじめは反目していたのに、次第とその気持ちが近づいていく。
一癖も二癖もある二人なので、最後の最後までそのキャラがぶれないところが読んでいて面白かったです。最後も、『らしい』と思いました。
個人的には、この後の二人がどのように目的を達成していくのか知りたいところです。

憧れの人。だけど、入社後の彼の評価を聞いた主人公は、自分の初めて出会った彼との姿のギャップに戸惑う。
会社での彼の評価。だけど、初対面での彼の姿に、戸惑いながらも信じきれない主人公に、少しずつその優しい片鱗が見え隠れしてくる。
ストーリーは主人公と副社長を主軸に進んでいきます。ただ、その周りとの関係性や、ストーリーが読んでいると奥が深く、すごく構成を練られたのだと感じる点がたくさんありました。
とても読み応えのある作品でした。

なぜか突然のプロポーズ。
それは、本当に突拍子もないほどの突然で出会ったその日に告げられたプロポーズに戸惑いしかない主人公。だけど、そんな主人公を尻目に外堀はどんどんと埋められていき――…
その流れで行くと、このまま溺愛路線突入かと思いきや、そうは簡単に進まず、初っ端から主人公へのアプローチがすごいために、その展開は予想はできませんでした。
スムーズにいかない結婚話。だけど、二人の想いがまっすぐで、また、主人公が悩みながらも強い女性なので読んでいてすごく心地よかったです。
スキッとした感じで読めて、キャラクターも一癖も二癖もある人物が多く、とても面白かったです。

かっこよく、社内でもモテるモテ男。仕事もできて、まさに非の打ちどころがない。
そんな無敵な男性のはずなのに、どんどんと話が進むにつれて、そんな当初の面影がなくなりつつあります。
本当の恋をしてしまったがために、戸惑い、それがかなり面白いのですが、自分の気持ちにあたふたとしながら、だけど、モテていた過去もあるため、そんな自信過剰な部分と不器用で不安定な様子が読んでいてとても面白い作品でした。

王道といえば王道。なのに、こまごまとした設定がとても丁寧に描かれており、とても読み応えがありました。
仕事上のライバルということで、犬猿の仲。だからこそ、お互い嫌いから、なぜか接することが多くなり、自然と今まで見えてなかったお互いの部分が見えていき、今までとは違うイメージを持ちつつ近づいていく様子がとてもよかったです。
仕事の部分も描かれており、だからこそ、読み応えもありながら、流されるだけではない複雑な大人の雰囲気も読んでいてよかったです。

読み終わった時、すごく考えられた作品だな…と思いました。
ストーリーが難しいのではなく、日常的な流れの中に、ふと考えさせられる言葉が入ってきます。特に、主人公のハウスキーピングという職種の中で、ホテルでの仕事内容を話す時や、その心構え。
軽く見られがちな職種だけど、その中でのプロ意識に、自分もなんとなく軽く見ていたのではないかと考えさせられました。ホテルの中でも裏方の仕事。一見受付などの華やかなところに目が行きがちですが、隠れた部分でそういった人たちが一生懸命に働いているということをこの作品を読むことで考え直させられました。
恋も、ただのラブストーリーではなく、ただ惹かれるというだけではない、人と人の奥深い部分の深い想いにとても素敵な作品だと思いました。

誰から見てもかっこいいと言われる彼。それは外見だけではなく、接し方の雰囲気からも見て取れる。
だからこそ、かっこいいと思いながらも自分とは関わり合いがないだろうと思っていた彼。そんな彼からアプローチされるのだが―――…

同僚の友達の想いを知って、尚且つ自分とは釣り合わないとどこか線引きをしていた主人公。そんな線引きを軽く乗り越えて、どんどんと主人公の奥深くへと入り込んでくる彼。
認めたくない、認めてはいけない。
そんな奥底に隠れている想いに必死に蓋をする主人公の気持ちが伝わってきて、とても切なかったです。

毎日、仕事に打ち込みながらも、気づけばすでに結婚適齢期。今まで気にしなかったことが気になり、いざ焦ってみたところで、自分にはそういう相手はいない。
仕事優先でありながら、そんな中に生まれる毎日の生活の中での微かな隙間。

苦手な上司が現れ、やたらと自分に構いながらも、それでもそこにすぐには気づけない。一旦冷静になることで気づくこと。

ちょっと複雑で綺麗なだけではないリアルな大人の考えが描かれた作品でした。

王女という自分の役割をきちんと知っている主人公。悲しく悲劇の人生の中、それでもめげずに前向きに自分の王女という立場を理解し、まっすぐに向けている。
そんな彼女は、自分の夫を倒した王に見初められる。
今までの自分への夫や父とは違う優しく広い心を持つ王に、戸惑いながらも惹かれていく主人公。だけど、自分の立場を理解しているからこそ、そのことを深く感じており、簡単に王の気持ちにこたえることもできない。
壮大なスケールの中で、繰り広げられるストーリー。恋愛はもちろんですが、それよりも国としてのあり方などが丁寧に書かれており、冒険ものとしてのほうが強く感じられます。
波乱の展開の連続に、ハラハラドキドキさせられました。

過去の経験により、恋を諦め仕事に生きている主人公。
一生懸命に仕事に向き合う中で、取引先で出会うイケメンすぎる医師。何かと構われるのだけど、恋を遮断し、また軽い男のことは信じないと決めている彼女にとっては、ただの迷惑な人物。

軽いことは軽いけど、それでもその奥に秘められた想いは真剣なもの。でも、彼の持つ雰囲気が主人公に真剣さを疑問視され、全く前に進むこともできない。

そして、彼女も惹かれながらも信じ切ることのできない心の奥底のトラウマ。

様々なことに葛藤しながら、それでも前進、後退を繰り返しながらのストーリーに目が離せませんでした。

過去に一度だけ会ったことのある人。
だからこそ、政略結婚と知りながらも受け入れた。だけど、再会した彼は、昔の面影を残すこともないほどに変わっていて―――…

政略結婚、王宮内の陰謀、そしてお互いの絆。
いろいろなことが二人を取り巻き、だけど、ゆっくりとその想いは通じ合っていく。
実は、ただの政略結婚ではなく、王弟である夫が望んだ結婚。その理由と想いの深さに驚きます。また、過去の面影のない彼に、まっすぐに向き合う王女。
二人の想いの深さ。そして、そこに行きつくまでの流れが丁寧に描かれていてすごくよかったです。

たった１か月だけのお付き合い。だけど、それは今もずっと主人公の想いの中にあった。
過去にしなければいけない想い。だけど、過去にすることのできない想い。諦めなくてはいけないと思いつつも、諦めることも忘れることもできない中で、偶然の再会。

主人公だけが想いを持ち続けていたのではなく、彼も想いを持ち続けていたということがとてもわかる、素敵な作品でした。
現在の恋愛模様はもちろん、過去の彼の想いも節目節目に入り、より一層ストーリーを深くさせていきます。

一途に、ずっと想い続けていた二人の深い愛。
離れていた時間さえも超えてつながる、その想いの強さに感動しました。

元カレに突然フラれた主人公。それまでも自分の性格の引っ込み思案から、ネガティブ思考だったその性格は、より一層恋愛にたいしてネガティブへと偏っていく。
そんな時に実家の神社で出会った男性。素敵すぎる彼に目を奪われるも、そのまま別れてしまう。だけど―――…

性格的にはそれほど暗い感じでもなく、真面目でまっすぐなだけで好感が持てる性格の主人公。ただただ、男運が悪かっただけだと私には思いました。
課長はもちろんのこと、幼馴染の男の人も素敵な人で、だからこそ、その元カレだけが悪かっただけで、そんな彼の行動に振り回されてこじらせてしまうことが勿体なく思いました。

悩みながらも、懐の深い彼の想い。そして、前へと友人や同僚に励まされながらゆっくりと前へと動き出す等身大の主人公のラブストーリーがすごくよかったです。

ストーカーに狙われていた主人公。警察に相談するものの、まともにはとりあってもらえない。
そんな時、社長によって紹介されたのは―――

安全のための同居人。だけど、それは二人の関係が徐々に変わっていく。
ただの甘いラブストーリーというわけではなく、私には少しサスペンス要素もあるように感じました。
ラブのハラハラドキドキだけではなく、サスペンス的にもハラハラドキドキさせられました。

『束縛』
ラブストーリーを書く上では、とてもひかれるテーマですが、一歩間違えれば犯罪すれすれの難しいテーマ。
それを、すごく明るく楽しい作品へと仕上げられていました。
そこには、きちんとしたキャラクター設定とストーリーの緻密さがあるのだと思いました。
読み応え満点、そして、最後まで楽しく読めました。

はじめは声だけの憧れの人。
それがある時を境に現実の人となる。中編ということもあり、ストーリーはギュッと濃縮されていますが、だからこそ、だらだらとした感じもなく、甘い展開の中の駆け引きもテンポいい。
すごく楽しく読ませていただきました。オフィスラブなので、もちろん大人のラブストーリーですが、その中に大人のしっかりした部分と、爽やかさが織り交ぜられた作品でした。

最悪な裏切りを受けた主人公。
そんな彼女を慰めた一夜限りの男。もう会うこともないと思っていた相手だけど、その相手が偶然、上司として目の前に現れて…
あらすじを読めば、ありきたりのストーリーに思えなくもない。だけど、元カレやその相手など、周りの人間の最低っぷりが浮き出ており、そんな中部長の存在はとても素敵で、尚更元カレの屑っぷりが浮き出てました。
元カレのこともうやむやにするのではなく、最後にきっぱりと決着をつけ、前に突き進む主人公。そして、そんな彼女を支える部長の姿に、過去の裏切りがあっての出会いが素敵に思えました。

始まりから唐突だった。
些細なことから、結婚する方向へと話が転がっていく。だけど、その前にすでに誤解の布石は敷かれていて、それがどんどんとストーリーが進むにつれて複雑に。

短編ということで、大まかなストーリーはシンプルなはずなのだけど、その誤解がそう簡単にはすませない。
主人公もちょっぴりややこしい性格をしているし、彼も一筋縄ではいかない性格。
そんな二人だからこそ、少し斜めに行きかけたりしながら、すったもんだして、でも時には心に響いたりとストーリーにメリハリがありとても面白かったです。

ハイスペックな男性。だけど、そんな男性を信じることができない主人公。
甘い言葉は素直に受け入れることができず、その裏を読み、そしてその先まで悪いように考えてしまう。だからこそ、甘い言葉をささやかれても、それに乗ることもできず、ただ流すのみ。
そんな彼女に、強引ながらも、実はさりげない優しさや不器用さを見せる彼は、神の手を持つといわれるほどに優秀な人物とは思えないギャップ。それが、彼のハイスペックさを曖昧な感じを見せて、すごく新鮮味があるのと同時に親しみを持てました。
大人のラブストーリーなのに、ちょっぴり青春時代のような甘酸っぱさも織り込まれたさわやかなラブストーリーでした。