聖凪砂さんのレビュー一覧
表紙を見ていると、複雑なシリアスなラブストーリーなのかと思っていました。
だけど、読み始めると想像を大きく裏切ったストーリーでした。特にシリアスになりそうな展開に行きはじめても、すぐに明るい展開へと変わっていき、特に主人公が男前。女の子なのに、あっさりしている性格なところもあり、ストーリー展開が終始明るく感じました。
とても読みやすかったです。
16歳という青春真っ盛りの時期からの10年間って、女にとってはとても貴重な時間。だけど、その時間を政略結婚という形で奪われてしまった主人公。
相手とは会ったこともない形での10年間。そして、その10年を境に自分の一歩を踏み出す。
止まっていた時から動き出した主人公。それは、会ったこともない夫との決別のはず。だけど、皮肉なことにその行動がもとで逆に夫に興味を持たれてしまうことに。
ないがしろにされ続けていた妻と、無意識のうちにないがしろにしてしまった夫。逃げたい妻と捕まえたい夫。お互いが逆の考えを持ちながら、少しずつ距離を縮めていくストーリー。
主人公の周りには魅力的な男性がたくさん登場して、個人的には誰とくっついても満足できるほどに魅力的な男性陣でした。
切なくもあり、もっと夫が打ちひしがれる姿が見たいとか読みながら思ってしまいました。
すごく読み応えのある作品でした。
冷徹な男に姉の身代わりで結婚させられた主人公。だけど、その先には隠されたものがあって、その真実がわかってからは、この作品がすごくドラマチックで、私にとって最高の作品になりました。
主人公の天真爛漫さと、超鈍感体質。
そして、そんな彼女を心配しながらも、けなす冷徹男。そこがボケと突っ込みのようでテンポもよかったです。
身代わりのはずが、愛されているかもと錯覚してしまいそうになる主人公。だからこそ、自然と惹かれていくのもわかるのと同時に自分が身代わりということが彼女を苦しめます。
切ないながらも、ドラマチックな素敵なストーリーでした。
社長と秘書。
その関係以上のものなんて何一つなかった。それは、片方だけが思っているのではなく、お互いが思っていたはず。だけど、ある一線を越えてしまったことで二人の関係は変わってしまう。
お互いが意地っ張りで、だからこそ、全く二人の関係は進まず―――。
ちょっと、もどかしく感じてしまうところもありますが、それも含めて作者の方の思うつぼなのかな?と。
お話もとてもきれいにまとまっていて、読み応え満点でした。
恋愛だけど、社会人のお話ということもあり、お仕事のことも丁寧に書かれていて、よく考えて書かれているな…と思いました。
表紙を見る限りでは、主人公と元カレと上司の三角関係だと思っていたのだけど、予想外に後半は全く別のところからの横入りがあり、それが三人の三角関係よりも複雑でシリアスな展開へと移っていく。
特に後半は、二人の関係がどのように展開されるのかと不安で切なくて、一気に読み進めてしまいました。
大人の汚い世界。企業間の裏の駆け引き、取引。ただの恋愛だけではない、企業の汚い部分も浮き彫りになった大人のラブストーリーでした。
急に舞い込んできた不幸。そんな中で一筋の光とばかりに再就職に挑み、無事採用された主人公。
採用されたことに喜んでいた主人公だけど、いざ蓋を開けてみたら―――
会社での屈辱的な環境。そして、そんな中でなぜか訳のわからない仕事を急にやらされたかと思うと、フォローしてくれたりといろいろと意味不明な部長。
そして、挙句の果てにはなぜか家に帰ってまでも―――…
不器用な部長のやさしさの中で少しずつ育まれていく関係。そして、それは恋だけではなく、仕事までも―――…
恋に仕事にがんばっていく女の子のお話です。
前作でも陰謀渦巻く世界観の中でのストーリーで、かなりシリアスな展開のラブストーリーだったのですが、今回は前作の主人公のお兄さんの物語。
前作のストーリーに比べると、少しシリアス度は低いけど、陰謀はきちんとありました。それが、すごくよみごたえがあり、気が付けば、このストーリーはたった一日だけのことなのだと読み終わった後で気づきました。
とても面白い作品でした。
前向きに真面目に生きてきた主人公。理想の結婚を想像しておきながらも、気が付けばその理想の結婚年齢は過ぎていく。
全くその気配がない自分に焦りだけが募ってくる。そんな時に再会したのは過去に好きだった男性。だけど、その男は―――…
まっすぐに一生懸命に恋をしようと、結婚するためにその相手を見つけようとするものの、ことごとく不発に終わる主人公。その理由を知りながらも、それは決して認めるわけにはいかず―――…
実は箱を開けてしまえば、簡単なこと。なのに、それをより一層複雑化してしまう二人の関係。
いろいろと切ない展開ですが、だけど、最後の最後に「おいっ!」と突っ込んでしまいました。
それは、間違いから始まった結婚。
契約結婚を題材にした作品は数多い。その中でも、この作品は少し変わっている気がしました。
割り切って結婚に対して、それほど自分の感情を持っていない彼に、間違いでその結婚をつぶしてしまった主人公。相手に対して、全く思い入れもないからこそ、身代わり提案ができるわけで、だからこそ、それは徹底されていました。
そして、馬鹿正直な主人公。
自分の気持ちに戸惑いながらも、それは違うと否定しながらも、彼の行動にドキドキしたりハラハラしたり、嫉妬してしまったり。そして、そんな自分に驚きながら、腹が立ったりと忙しい。
後半は、彼に恋愛をさせようとしながらも、実は彼を後ろから元気づけたりサポートしたりとこの契約結婚を通して成長していく二人の姿が読んでいてすがすがしかったです。
短編ということもあり、さらっと読めました。
長い間関係を持ちながらも、彼に愛されているとは思っていない自分を都合のいい女だと思っている主人公。
いつかは捨てられると思いながらも、自分から関係を断ち切ることができない彼女の切ない気持ちがとてもよくわかる作品でした。
そして、そんな彼女に対して、不器用な気持ちを持つ男。
切ない分だけ、彼の不器用さがわかってからは甘く感じました。
突然の彼からの別れ。
失意の中、前向きに仕事をしながら吹っ切ろうとする主人公。そんな彼女の部署に異例の異動でやってきた後輩男子。
特別目を引く男の子ではないけど、普段のやり取りをしていく中で親しくなっていく。
とにかく元カレと同期の女が最悪で、自分勝手。
主人公を傷つけたということをあまりよくわかっていないのではないかと思う言動の数々で、そんな二人が最後まで結婚へと突き進んでいくのがすごくむかつきました。
特に同期の女には、社内でも痛い目にあってほしいぐらい個人的にはむかつきました。
だからこそ、さりげなく主人公を優しく守る後輩男子がすごくかっこよく見えました。
読んでいて、すごく可愛らしいお話だな…と思いました。
メイン二人は社会人なのに、なんだろう。この可愛らしさ。社会に出たなら、すれているところもあるかと思うのだけど、ピュアさ全開の二人のやり取りに可愛らしさがこみあげてきて、切ないはずの展開もドキドキしながらも温かい気持ちで読み切れました。
ちょっとストーリー的に短かったので、この二人の続きのお話とか読めたらな…というのが個人的な気持ちです。
お互いの状況が似ているため、同盟を結んでいた二人。
接点のなかった二人がその同盟を結んだことで、仲良くなっていく。近づくことで恋を…という展開ではなく、その距離の縮まり方は仲が良い同士としての縮まり方。
少し違う展開の近づき方で、だけど、そんな二人がその関係から右往左往していくさまが読んでいてすごく温かい気持ちになりました。
社内恋愛の中での契約。
契約内容はいたって普通。だけど、そこに持っていくまでの工程がかなり「んん?」と思わせられる展開もあり、薄々は感づいていました。
だけど、主人公がこの社内恋愛法度に振り回され、右往左往している様が健気で、それでいてすごく温かい目で見てしまいました。
短いページ数なので、ストーリーもテンポよく進み、とても読みやすかったです。
政略結婚。だけど、そんな政略結婚さえも前向きな意思で幸せになろうとする主人公。
だけど、そんな主人公の想いを、冷たい一言で遮る王太子。だけど、冷酷だと思われた王太子は本当は―――…
市井で育った変わった王女様。だからこそ、見えてくるやさしさと庶民的な感覚。そして、行動力。そんな突拍子もない彼女に次第と王太子も――…
途中からの王太子の王女に対する変化はとても読んでいて心温まる展開でした。
陰謀はないですが、国に対しての思いや戦争に対しての命の重さの意味など、ただのラブストーリーだけではなく、作者のメッセージのようなものも込められていると思いました。
実際に会った時にお互いがオフ状態の素の姿で会ったことで、お互い自分自身を見てくれる人と思い、惹かれていく。その姿は微笑ましく―――…
だけど、会社での主人公は臨戦態勢で社長に向かっていく強い女性。だけど、仕事に真摯に向き合っていくその姿に次第に社長も彼女の頑張りを認め、徐々に優しさを見せていく。そこで惹かれていく自分の心に戸惑う姿がすごく恋愛に不器用なのだと思わせられて微笑ましいです。
オフでの隣人との関係、会社での社長との関係、二つの関係に戸惑いながらも、いろいろな現実に立ち向かい、徐々に距離を近づけていく二人の姿にドキドキさせられっぱなしでした。
シリアス…で、王道のファンタジー作品…と言いたいのだけど、王道のファンタジーだとは思うけど、キャラクターがすごく個性的で、何よりも主人公がすべてのことにおいて前向き。そして、明るい。それもあって、危険で切ない展開へと向かうかと思うものも、全くシリアスにならない。
とても面白くて、読みやすい作品でした。
突然のお誘いは、切ない恋の始まりだった。
期限を切られた恋愛。彼が主人公を想う気持ちは読んでいても、とてもよくわかりました。だけど、だからこそ、期限をつけたその意味が全くわからなかった。3年や5年ならまだわかるものの、1年で帰ってくるということだから、1年ならその期限をどうして切るのか。
その意味が最後の最後にわかって、それと同時に彼女のことを本当に大切に想っているのだとわかりました。
恋愛感情皆無。だけど、お互いにとっては大切な人。
大切だけど身近にいすぎたせいで、その大切さがわからない。そんな幼馴染だからこそ、関係を今とは変えるのは難しい。
のらりくらり。だけど、離れることもなくずっと傍にいた2人。そんな二人の関係は幼馴染である社長のある決意によって劇的に変わっていく。
恋愛感情を持っていないといいながらも、彼のことを一番よくわかっていて、彼の背中を押している主人公。そんな彼女のことを大切にし続けている彼。
しっとりとした純愛と言えるのに、お互いのキャラクターが個性があるために、ストーリーもハキハキして読んでいてすごく楽しかったです。
とてもいい話だったと思います。だけど、読み終わった後腑に落ちないところもあって、ちょっとモヤモヤ。
世の中いいことばかりではないのはわかっているのだけど、一生懸命に長い間一緒にやってきた主人公をこうもあっさりと切る塾長にはいい人と言われても納得がいかない。なんとなく自分のまいた種を主人公が身を切る形になったみたいで―――…
そこは読み終わってもモヤモヤしちゃいました。いくら後から状況が変わってそのほうがうれしいとか言っても、その前段階のことがあったので「んん?」って感じで。
だからこそ、彼女を守るために必死にがんばる彼がすごくよく見えちゃいました。
そして、身勝手な人たちの思惑に巻き込まれながらも、自分の信念を貫き、まっすぐに突き進んだ2人の姿に感動しました。