聖凪砂さんのレビュー一覧
強引な婚姻関係。横暴すぎる彼に反発するものの、家のことを考えると受けるしかない。だけど、そう簡単には受け入れられない主人公は弟からの提案を受け入れ、離婚してもらうために策を練る。
嫌われようとするのだけど、もともとの優しい性格から、そう簡単にはいかず、思いどおりにいかず、あたふたとする姿が読んでいて面白い。また、一緒に暮らすうちにお互いに近づいていく距離感が初々しかったです。
ブラックな企業で、毎日懸命に働く主人公。
そんな彼女の前に現れたのは、どん底まで落ち込んでいた彼女に声をかけてくれた彼。
再会は突然のことで、秘書へと抜擢された彼女は彼の言動に翻弄される。掴みどころのない彼の言動に一喜一憂される主人公。そんな彼女を強引に振り回しながらも、どこか心情を見せない彼。
くっつきそうでくっつかない二人の関係にハラハラの連続でした。
お見合いから始まった彼の強引な包囲網。
それだけを見れば、ありふれた作品のようにも思える。でも、それだけではないのがこの作者さんの作品です。
一見、政略結婚に見える二人の関係性も、それはただのきっかけでしかなく、お見合いをしたことによって、どこか足踏みをしていた主人公の環境が変化してくる。ただ、想いをぶつけてくるだけではなく、さりげなく彼女の後押しをしてくれる彼の優しさも見え、すごく素敵な作品でした。
幼馴染だけど、自分とは違いすぎるほどのハイスペックな彼との関係は近いようで遠い存在。それは主人公が思っているだけで、彼のほうは幼馴染の主人公を大切にしていた。
そのそれぞれの想いのギャップと、社内での周りとの違いに悩む主人公。周囲がハイスペックな人たちなので、余計に悩む彼女の想い。そこがネガティブなように感じながらも、誰でも悩むことであり、すごく親近感がわきました。
ゆっくりと進む二人の関係性から、ストーリーはゆっくりと進んでいくのですが、ゆっくりと進む中で二転三転する出来事の連続に、最後の最後までどのような結末を迎えるのかわからず、ドキドキしました。
最悪な日に出会った人。全く知らない人でありながら、人の目を惹く容姿を持ちながらも16連敗中の彼に、雰囲気は良くても優しさをそのまま受け取れなかった主人公。だけど、その日から少しずつ知っていく彼の素顔。
終始べったりという感じでもなく、程よい距離感を保ちながらも時に強引に周りを詰めてくる彼。そんな彼の行動に戸惑いを感じつつ、惹かれていってしまう彼女。
お互い最悪な時に出会った二人。そんな二人の恋を始めていくストーリーでした。
最後に、元カレとの別れがはっきりとできたのか、そこが少し気になりました。
主人公が前作の恋のライバルということで、それもがっつり絡んでいたので、主人公に好感が持てるかと心配になっていたのですが、そんな心配は全くの無用でした。
新たなストーリーとして、彼女は彼女の良さが出ており、また、再会した彼の彼女自身を包み込むような想いの深さ。そして、彼女との関係性や彼女自身の悩みなど、あまり好きではなかったはずの彼女のことが最後は好きになっていました。
短いページ数の中でも、とても丁寧に書かれており、とても読みごたえがありました。それは、きちんとテーマが絞られており、そこに重点的にストーリーを置いたからだと思います。
また、女性視点だけではなく、男性視点も織り交ぜてあることで副社長の愛情も見え、すごくよかったです。
社長秘書の彼。フロント係の主人公。
仕事場は全く違う二人だけど、あることにより同居したことで近づいた距離。でも、それはあくまで同居であって、そこに恋愛はない。
そんな心地よい関係性の中で、前にも後ろにも進めない二人。
ところどころ見え隠れする二人の気持ちだけど、お互いがお互いの関係を考えて動けないもどかしさが切なかったです。
男運の悪い主人公。そんな彼女を見かねた同期の彼。同期の中でも一番の出世頭の彼に持ち掛けられた契約。
ただの同期だと思っていた彼と近づくことにより、彼に惹かれていく想い。でも、彼との関係は契約だけのこと。いずれ、離れなければいけない関係に、必死に押し込めようとする気持ち。そんな二人の関係とは別に、元カレの存在。
切ない二人の関係性と、身勝手な男。航空会社という私にとっては身近ではない仕事場を舞台にした恋愛模様がとても新鮮で面白かったです。
箱入り娘の主人公は、両親の過保護っぷりから外の世界を全く知らない。それは、異性との出会いもしかり、徹底的に隔離をされていた。そんな彼女の前に偶然現れた人。それは運命的とも思われる出会い。だけど、そこで恋が始まらずに少しずつ彼に外の世界のことを教えてもらう主人公。そこからも箱入り感が固いことがうかがえる。
そして、そこから始まる彼の甘い関係とは別の陰謀渦巻く貴族の汚い世界。恋の駆け引きやそれぞれの複雑な関係性などファンタジー作品の設定も盛りだくさんでとても楽しく読むことができました。
過去に婚約破棄をされた主人公。そのことがずっと胸の奥底にありながらも、懸命に過去を心の奥深くに押し込めて一生懸命に生きていた。そんな彼女の前に現れた元婚約者。
彼のことを忘れたい彼女は彼を拒絶するのだが、そんな彼女を追いかける彼。戸惑う主人公の気持ちと心の奥深くに押し込めた想いを必死になくしてしまおうとする彼女の葛藤。そして、過去の自分の行動をずっと後悔してきた彼の彼女への挽回のチャンスを求める必死さ。
彼の後悔からの一生懸命にもがく姿が、とても魅力的で、彼がカッコよくて一目置かれているからこそ、その必死さが際立っていました。
とても素敵な作品でした。
契約を結ぶための強引さと、会社での真摯さ。
彼のそのギャップがとても魅力的で、私はとても惹かれました。契約ということで素直になれない二人。周囲のそれぞれの人たちの感情も入り乱れて、ストーリーは複雑になっていき、どのような展開が繰り広げられるのか先が読めず、終始ドキドキさせられっぱなしでした。
強引だけど、彼の想いがわからない。だからこそ、彼からアプローチを受けているのかわからない状態に。
また、彼女の職場の仲間も、とても温かい人ばかりで、面白く、アットホームな感じがよかったです。
強引な彼でありながら、彼の行動が空振りになることも多く、とても楽しく読ませていただきました。
ずっと片想いをしていた主人公。素敵すぎる彼に想いをぶつけてきた彼女は、長い間、彼にそっけなくあしらわれていた。それでもめげずに一途にぶつかっていく彼女。そんな前向きでまっすぐな彼女を応援したくなる作品です。
比較的、短い作品ですが、その中で彼女の彼への想いから気持ちの浮き沈み、また、彼の彼女への気持ちの変化などしっかりと書かれております。だからこそ、もう少し長い作品としても二人のストーリーを読んでみたいと思いました。
周りからのプレッシャーと、年齢による自分の焦り。打算的な考えと、生きてきた年数と同様に気持ちに素直になれない気持ち。
惹かれていく気持ちと同様に、世間体などが気になったりと、現実感がたっぷりで主人公の迷いなどがすごくよくわかります。だからこそ、感情移入してしまい、彼女の心情がつらかったです。
そして、第3弾となるロッカーシリーズはすべて大好きで、これからもずっと続けていってほしいと思います。
お互いの利害の一致…というよりも、彼の利害のために、強引に結婚させられた主人公。はじめは戸惑いながらも、お互いに干渉しない関係に早々に慣れる彼女だけど、会社の上司という関係が無関係ということだけではすまない。
過去の因縁からの脱却。前に進む道を示してくれ、背中を押してくれる彼。そんな彼に次第に惹かれていく想い。
始まりが始まりな二人なだけに、そこがネックになるというのは初めからわかっていたのだけど、それでも惹きこまれていくストーリーの世界。
先が気になる読む手を止めることができませんでした。
思わせぶりな態度と最初の契約。
それに惑わされる主人公。そして、自分で自分の首を絞める彼。
二人の気持ちが近づいたかと思えば遠ざかり、絡まっていく。
どちらの気持ちも書かれているからこそ、読んでいるこちらはもどかしい気持ちでいっぱいでした。
近い距離にした人だからこそ、相手のいいところも悪いところも知っている。だからこそ、男女の関係になるはずなんてないと思っていた。でも、そう思っていても近いからこそ、その距離感は些細なことがきっかけで変わってしまう。
それが如実に表れた作品でした。
そして、言葉に隠された罠に振り回される主人公。おそらく、男性視点のパートが含まれていなかったら、彼の思惑や真意がわかることがなく、私も主人公と同じように彼の言動にふりまわされていたのではないかと思います。
ストーリーの軸はシンプルなのですが、その中で展開されるストーリーのふり幅がとても広く、すごく読み応えるのある作品でした。
お互いに近い距離間。そして、主人公には胸に秘めた想いがある。それは、今の関係を崩すことになるから口にしてはいけないこと。口にしてしまったが最後、今の関係が変わってしまうことがわかるからこそ、言ってはいけないとわかっている。それでも、秘めた想いは頭ではわかっていても心から溢れた時に漏れてしまう。
場所?流れ?雰囲気?
何がどうかみ合ったのかはわからない。でも、つい吐露してしまったその時の気持ちなど、普通ならただの雰囲気や流れで終わるその心情が主人公と先輩のやり取りの中でとても複雑にそれぞれの感情なども織り交ぜられて丁寧に書かれていて、それほど展開が動くストーリーではないのですが、内容が深く読みごたえがありました。また、周りのキャラたちも一筋縄ではいかない人が多く、恋の駆け引きもあり、すごく面白かったです。
伯爵でありながら、貧乏貴族の主人公は細々と体の弱い兄と暮らしていた。
伯爵令嬢でありながら、毎日健気に生きている主人公だけど、そんな彼女たちの前に傷を負った青年たちが現れて―――…
毎日の生活を慎ましく、欲を持つこともなく一生懸命に生活する主人公たち。それは主人公だけではなく、兄もまっすぐに生きており、二人が互いに大切に思い合っているのがわかり、とても微笑ましいです。また、ただの出会いからのラブストーリーではなく、現在と過去の陰謀も絡んできて、とても面白かったです。
個人的には、すごくストーリーがよかったので、その分、陰謀の部分がもう少し丁寧に書かれていればもっとよかったな…と思いました。